<新興国eye>前週のブラジル株、中国の景気刺激観測の後退やペトロブラス急落に続落=BRICs市況

新興国

2024/3/11 9:02

 前週(4-8日)のブラジル株式市場は8日のボベスパ指数が前日比0.99%安の12万7070.79、週間ベースでは1日終値比1.63%安となり、続落した。

 週明け4日は指数が下落、翌5日も続落した。6日は反発、7日は反落した。

 週前半は、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の議会証言(6-7日)を控える中、FRB傘下のアトランタ地区連銀のボスティック総裁が講演で、FRBは性急な利下げ圧力を受けていないと発言したため、売りが優勢となった。また、ブラジル中銀のカンポス総裁も講演で、賃金がサービスインフレへの大きな圧力になり始めていると懸念を示したことも売り材料となった。

 その後は、米国の2月ISM(サプライマネジメント協会)サービス業景況感指数が52.6に減速したが、依然、好不況の50を上回り、米経済は堅調を維持していることから、米利下げは先になるとの見方で売りが優勢となった。ただ、ブラジルの重要な貿易相手国である中国が24年の成長率目標を23年と同じ5%増に設定したことで、大規模な景気刺激策を打ち出すとの期待感が強まったため、下値は限られた。

 週後半は、パウエルFRB議長が議会証言で、年内利下げ開始の可能性を示したことを受け、米経済の景気後退懸念が緩和、買いが強まった。また、米国の雇用統計を占う2月ADP雇用統計(政府部門除く)が前月比14万人増と、市場予想(15万人増)を下回ったことも6月利下げ開始の観測を強め、支援材料となった。

 その後は、ECB(欧州中央銀行)の金利据え置き決定後、ラガルド総裁が会見で、「インフレは順調に物価目標(2%上昇)に向かっているが、まだ、(達成には)十分な自信はない」と、早期利下げに慎重な姿勢を示したことや、中国の1-2月の輸出が前年比7.1%増、輸入も同3.5%増と、いずれも予想を上回ったため、大規模な景気刺激策が打ち出されるとの観測が後退したことが嫌気され、売りが強まった。

 週末8日は続落。国営石油大手ペトロブラスが特別配当(追加配当)を実施しなかったことを受け、失望売りで10%急落、下げをけん引した。23年決算で純利益が前年比34%減と、大幅減益となったことが背景。

 今週(11-15日)の株式市場は、中東紛争やウクライナ情勢、中東・紅海でのイエメン武装勢フーシ派による船舶攻撃、西側の対ロ制裁などの地政学的リスク、台湾情勢や米中関係の悪化懸念、中国の景気動向、原油・ガスなどの国際商品相場の動向、国内の政治、ルラ政権の経済・財政・税制政策なども注目される。主な経済指標の発表予定は12日の2月IPCA(拡大消費者物価指数)や14日の1月小売売上高、15日の1月サービス業成長率など。

<関連銘柄>

 ボベスパ<1325.T>、上場MSエマ<1681.T>、上場EM債<1566.T>

提供:ウエルスアドバイザー社

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