<新興国eye>チェコ中銀、予想通り0.5ポイント利下げ―次回会合から小幅利下げを示唆

新興国

2024/5/7 9:03

 チェコ国立銀行(中銀)は前週(2日)の金融政策決定会合で、インフレ低下を受け、政策金利の2週間物レポ金利を0.50ポイント引き下げ、5.25%とすることを決めた。市場の予想通りだった。今回の決定は全員一致だった。前回3月会合では2委員が0.75ポイントの利下げを主張、反対票を投じていた。

 中銀はインフレ加速を受け、21年6月から22年6月まで9会合連続で利上げを実施。利上げ幅が計6.75ポイントに達したことから同8月から据え置きに転じ、23年11月まで11会合連続で据え置いた。しかし、同12月会合で20年5月以来3年7カ月ぶりに利下げに転換。これで利下げは4会合連続となり、利下げ幅も計1.75ポイントに達した。ただ、5.25%の金利は依然、1999年10月(5.50%)以来、24年7カ月ぶりの高水準で、金融引き締めスタンスを維持している。

 中銀は声明文で、4会合連続で利下げを決めたことについて、「2月と3月のインフレ率が2%上昇の物価目標を達成、物価の安定を取り戻した」としたが、前回会合時と同様、「インフレ見通しには若干のインフレリスクがある。これらのリスクが顕在化すると、今後数四半期にインフレ率が物価目標の許容レンジの上限(3%上昇)に向かって乖離することになる」とし、インフレ再加速懸念を示している。

 その上で、今後の金融政策について、中銀は、「金融引き締めスタンスを継続し、さらなる利下げの可能性に引き続き、慎重に取り組む必要がある」とし、次回6月会合で、小幅な利下げに転じる可能性を示唆した。金融先物市場では中銀は6月会合から0.25ポイントの小幅利下げに転換、25年に4%程度で利下げサイクルを終了すると予想している。

 また、中銀は前回会合時と同様、「さらなる金利引き下げのペースは主にディスインフレのプロセス(インフレの低下基調)の持続性や為替相場の動向、財政政策の経済への影響、雇用市場と国内外の需要の動向に依存する」とし、段階的な利下げを進める方針。ただ、中銀は、「インフレ率が予測通りに低下しない場合、依然として制限的な水準で、金利引き下げサイクルをいつでも一時停止、または終了する」との文言を残している。

 中銀はインフレ率(全体指数)の見通しについて、「燃料価格の上昇と食品価格の緩やかな下落により、インフレは今後数カ月で若干上昇する」としたが、24年平均で2.3%上昇と、前回会合時の予想(2.6%上昇)を引き下げた。25年は2.0%上昇と予想、従来見通しを据え置いた。

 景気見通しについては、中銀は24年の成長率見通しを1.4%増と予想、前回会合時の0.6%増から大幅に上方修正した。インフレ低下に伴い、実質の家計所得の伸びが回復していることや、外需の回復が背景。また、25年も従来予想の2.4%増から2.7%増に引き上げた。

 次回の会合は6月27日に開かれる予定。

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提供:ウエルスアドバイザー社

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