(再送)<割安銘柄の逆襲>ツカダGH、収益体質の劇的変化が確認された珠玉株

株式

2024/6/5 16:01

 5月に一巡した日本企業の1-3月決算発表の中で、当欄でも過去に取り上げたことのあるツカダ・グローバルホールディング(ツカダGH)<2418.T>がサプライズ業績を打ち出した。ブライダル事業を展開し、同四半期(1-3月は12月期決算の第1四半期)は赤字になりやすい季節性を持つ同社だが、今回は連結ベースで7.5億円の営業黒字(前年同期は0.1億円の赤字)となった。

―ホテルけん引、婚礼も利益率向上―

 同社の1-3月の営業損益は特に、新型コロナ禍が直撃した2020年以降に激しく落ち込み、21年12月期には37.7億円の赤字を余儀なくされた。しかし、昨年には同四半期の黒字化が視野に入り、今期は晴れて利益を計上した格好だ。

 その理由の1つは、ラグジュアリーホテルと呼ばれる「インターコンチネンタル」「ストリングスホテル」「キンプトン」などのホテル事業が急拡大している点にある。同セグメントの1-3月の売上高が前年同期比で2割伸び、営業利益は同3.1倍に急拡大した。リオープン(経済活動再開)でホテル婚礼施行件数が増加する中で、旺盛なインバウンド(訪日外国人観光客)需要により客室単価が上昇している。今後は主力の婚礼事業に比肩する可能性もある。

 また、婚礼事業の収益率も飛躍的に高まっていることも見逃せない。今期第1四半期はセグメント売上高が前年同期比で4%しか増えていないのに、営業利益は2倍となっている。これは、婚礼の出席者数の減少傾向に対して1人当たりの単価が大幅に上昇しているためだ。リクルートブライダル総研の調査によれば、22年度に式を挙げた夫婦が招待客1人に掛けた費用はコロナ禍以降に加速し、12年度と比べて62%増加したという。

―水準訂正は加速へ!―

 結婚式は「少人数で豪華に」が主流になりつつあるといい、特に挙式大手はその恩恵を受けやすい。コロナ禍で多くの中小規模の事業者が廃業したことで残存者メリットが生じたことに加え、式を挙げる夫婦からみれば倒産リスクの少ない大手を選ぶ傾向が強まったと言えそうだ。

 ツカダGHの株価は第1四半期決算の発表後に水準を切り上げたものの、依然としてPERは5倍台、PBR(株価純資産倍率)は0.8倍と割安な水準にとどまる。今期の純利益は受取補償金の反動で、最高益を更新した前期(47.3億円、前々期比3.2倍)を下回る見通しだが、それでも計画は43.3億円と高水準だ。収益体質の改善が四半期ごとに確認されるたびに、水準訂正の動きは加速する可能性が高い。

提供:ウエルスアドバイザー社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ