<新興国eye>チェコ中銀、予想に反し0.5ポイント利下げ―次回、利下げ停止か小幅利下げの可能性

新興国

2024/6/28 8:42

 チェコ国立銀行(中銀)は27日の金融政策決定会合で、インフレ低下を受け、政策金利の2週間物レポ金利を5対2の賛成多数で0.5ポイント引き下げ、4.75%とすることを決めた。

今回の会合では2委員が0.25ポイントの小幅利下げを主張、反対票を投じた。市場では大方が0.25ポイントの小幅利下げを予想、0.5ポイントの利下げはごく少数が予想していたため、サプライズとなった。

 中銀はインフレ加速を受け、21年6月から22年6月まで9会合連続で利上げを実施。利上げ幅が計6.75ポイントに達したことから同8月から据え置きに転じ、23年11月まで11会合連続で据え置いた。しかし、同12月会合で20年5月以来3年7カ月ぶりに利下げに転換。これで利下げは5会合連続、利下げ幅も計2.25ポイントに達した。4.75%の金利は20年4月(4.50%)以来、4年2カ月ぶりの低水準だが、そでも依然、引き締め水準となっている。

 中銀は声明文で、5会合連続で利下げを決めたことについて、「2月と3月のインフレ率が2%上昇の物価目標を達成、物価の安定が回復した。その後の数カ月間、インフレ率は物価目標の許容範囲の上限(3%上昇)に留まり、5月は前年比2.6%上昇(4月は2.9%上昇)に低下した」と、インフレ低下を指摘した。ただ、中銀は、「23年12月から慎重に金利を引き下げ始めたが、インフレとの戦いは終わっていない」とし、警戒感を示している。

 今後の金融政策について、中銀は、「長期的にインフレ率を物価目標に近づけるためには、金融政策は引き続き、引き締めを維持しなければならない」とし、その上で、「政策金利が徐々に中立金利水準に近づくにつれて、中銀は今後の会合で金融政策の制限緩和ペースを緩めるか、しばらく金利を据え置く可能性が高い」とし、今後は0.25ポイントの小幅利下げか、または、利下げサイクルを一時停止、高水準にある政策金利を据え置く考えを示している。市場では景気回復の兆しが見え始めたことを受け、景気を支援したい狙いが背景にあると見ている。1-3月期GDP伸び率は前年比0.2%増(前期比0.3%増)と、前期(23年10-12月期)の前年比0.2%減からプラス成長に転換している。

 また、中銀は前回会合時と同様、「これ以上、大幅利下げが予想されない理由は、インフレリスクがあると見ているからだ。これらのリスクが顕在化すると、今後数四半期により長期にわたり、インフレ率が物価目標の許容レンジの上限(3%上昇)に向かって乖離することになる」とし、その上で、「金融引き締めスタンスを継続し、さらなる利下げの可能性に引き続き、慎重に取り組む必要がある」としている。

 さらに、中銀は前回会合時と同様、「さらなる金利引き下げのペースは主にディスインフレのプロセス(インフレの低下基調)の持続性や為替相場の動向、財政政策の経済への影響、雇用市場と国内外の需要の動向に依存する」とした上で、「インフレ率が予測通りに低下しない場合、依然として制限的な水準で、金利引き下げサイクルをいつでも一時停止、または終了する」との文言を残している。

 市場では次回8月会合では今後入手するデータ次第で、小幅利下げ、または、金利据え置きに転じると予想している。

 次回の会合は8月1日に開かれる予定。

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提供:ウエルスアドバイザー社

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