米7月コアCPI、前月比0.3%上昇―市場予想上回る

経済

2019/8/14 11:05

<チェックポイント>

●家賃や運輸サービス、医療サービス・関連用品が伸びをけん引

●全体指数、前月比0.3%上昇―6月は0.1%上昇

●CPI受け米10年国債利回り上昇―追加利下げ観測やや後退

 米労働省が13日発表した7月CPI(消費者物価指数)は、FRB(米連邦準備制度理事会)が重視しているコアCPI(価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたもの)が前月比0.3%上昇と、6月から横ばいだったものの、市場予想の同0.2%上昇を上回った。また、前年比は2.2%上昇と、6月実績および市場予想の2.1%上昇を上回った。4カ月連続でFRBの物価目標(2%上昇)を超えている。

 コア指数の前月比の内訳をみると、賃貸住宅の家賃やホテル宿泊料などの「シェルター」価格(家賃・宿泊費)は0.3%上昇(6月は同0.3%上昇)、中古車(乗用車とトラック)は0.9%上昇(同1.6%上昇)、アパレルは0.4%上昇(同1.1%上昇)と、いずれも高い伸びとなった前月からさらに伸びた。

 また、航空運賃は2.3%上昇(同0.9%低下)と伸びが顕著で、薬品や医療機器など医療関連用品は0.2%上昇(同0.2%低下)と3カ月ぶりに上昇した。メディカルケアサービスは0.5%上昇(同0.4%上昇)、運輸サービスは0.3%上昇(同横ばい)と、いずれも伸びが加速した。

 CPI全体指数(季節調整後)は原油価格、主としてガソリン価格が夏の行楽シーズンを迎えて加速したことから前月比0.3%上昇と、6月の同0.1%上昇から伸びが加速したが、市場予想通りだった。ガソリンは同2.5%上昇と、6月の同3.6%低下から伸びが急加速した。この結果、エネルギー全体では同1.3%上昇(前月は同2.3%低下)と、加速に転じた。食品は前月比で2カ月連続の横ばいだったが、前年比は1.8%上昇と、6月の1.6%上昇から伸びが加速した。

 今回のCPI統計ではコアインフレ率の伸びが前月から加速し、FRBの物価目標を超えていることから、市場では米経済がリセッション(景気後退)に陥らない限り、ディスインフレ(物価上昇率の鈍化)懸念は小さく、追加利下げの必要性はないとの見方もあり、FRBが9月FOMC(米連邦公開市場委員会)でインフレ見通しについてどんな判断を示すかが注目される。なお、ニューヨーク債券市場では長期金利の指標である10年国債の利回りがCPI統計発表後、一時1.69%と、発表前の1.65%から0.04ポイント上昇しており、9月FOMCでの利下げ圧力がやや後退し、現状維持の可能性が高いと見ている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

関連記事

マーケット情報

▲ページTOPへ