米10月小売売上高、前月比0.3%増に回復―市場予想上回る
2019/11/18 10:20
<チェックポイント>
●まだら模様の回復受け、市場では先行き減速懸念強まる
●自動車・自動車部品とガソリン、オンライン小売が全体をけん引
●コア小売売上高、前月比0.3%増―10-12月期GDP伸び率押し上げへ
米商務省が15日発表した10月小売売上高(季節・営業日調整後)は速報値ベースで前月比0.3%増の5265億ドルと9月の同0.3%減から増加に転じた。また、市場予想の同0.2%増に対しても上回った。
前年比は3.1%増となり、9月の同4.1%増を下回った。
10月の内訳は、全13業種のうち、7業種で減少し、6業種で増加した。増加幅が大きかったのは、オンライン小売の前月比0.9%増(9月は0.2%増)と自動車・自動車部品の0.5%増(同1.3%減)で、食料品・清涼飲料水も同0.5%増(同0.6%減)、百貨店にスーパーなど量販店を加えた一般小売販売は同0.4%増(同0.4%減)となった。百貨店は同0.1%増(同1.5%減)と持ち直したが、弱い伸びにとどまった。
一方、減少幅が最も大きかったのはアパレルの前月比1%減(9月は0.3%増)、次いで、家具の同0.9%減(同0.7%増)、スポーツ用品・趣味・楽曲・書籍の同0.8%減(同0.1%減)、建築資材・園芸の同0.5%減(同1.8%減)、家電の同0.4%減(0.1%増)、レストラン・バーの同0.3%減(同0.8%増)など。
月ごとに変動が激しいガソリンスタンドはガソリン価格の回復を反映し、前月比1.1%増と9月の同0.1%減から3カ月ぶりに増加に転じた。この結果、全体の小売売上高からガソリンスタンドと自動車・自動車部品を除いた実質の小売売上高はわずか同0.1%増(9月は同0.1%減)にとどまり、市場予想の同0.3%増を下回った。
また、自動車・自動車部品だけを除いても、同0.2%増(同0.1%減)と、これも市場予想の同0.4%増を下回った。ガソリンスタンドだけを除くと、同0.2%増(同0.3%減)で、いずれも全体の伸びを下回る。このため、市場では、10月雇用統計が堅調となったことや約50年ぶりの低失業率、さらには堅調な賃金の伸びに支えられ、11-12月の歳末商戦期の消費は堅調となるという見方と、10月小売売上高の内容は自動車とオンライン小売だけが強い一方で、アパレルや家具、レストラン・バーなどが弱いという、まだら模様の回復となったことから、このまま個人消費の強い伸びが続くかは疑わしく、徐々に鈍化する兆しが出てきたとの見方に分かれている。
ガソリンスタンドと自動車・自動車部品に加え、建築資材や飲食レストランを除いた、いわゆる“コア小売売上高”(コントロール・グループ)は前月比0.3%増となり、市場予想と一致した。これは10-12月期GDP(国内総生産)の約7割を占める個人消費が伸びることを意味する。コア小売売上高はGDPを構成する個人消費支出の財支出に組み込まれる重要な指標となっている。ちなみに、7-9月期GDP伸び率(改定値)は、4-6月期の前期比年率換算2%増(確定値)をやや下回る1.9%増だった。
市場では今回の10月小売売上高が底堅さを示したものの、10年国債利回りは1.836%と統計発表前と変わらず、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策に対してはニュートラルとなった。市場はすでに次回12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での政策金利据え置きを織り込んでいる。
<関連銘柄>
NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、
SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、
NYダウベア<2041.T>
提供:モーニングスター社
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