12月12日英総選挙で保守党、野党と雌雄を決す
2019/11/20 11:36
英下院は10月29日、ジョンソン英首相が提出した12月12日を投票日とする早期総選挙法案を438票対20票の大差で可決。英国は一気に総選挙モードに入った。
ジョンソン首相が総選挙を選択したのは、メイ前首相によるEU(欧州連合)離脱の旧協定に代わる新離脱協定を10月17日にEUと最終合意したものの、10月末の離脱日前の議会通過が困難となったためだ。最大野党の労働党や自民党、SNP(スコットランド国民党)などEU残留を支持する野党に加え、ジョン・バーコウ下院議長(元保守党議員)までもが、ノーディール・ブレグジット(合意なきEU離脱)阻止を狙った巧みな離脱延期戦術を繰り広げた。
新離脱協定の議会通過が困難となり苦境に立たされたジョンソン首相は10月29日、ツイッターで、「議会と労働党のジェレミー・コービン党首がすべてに反対し、EU離脱を遅らせた」と非難した上で、事態を打開するためには、「新しい議会が総選挙によって誕生する必要がある」(10月29日付英BBC放送)とし、また、「英EU離脱の動きが止まったことは国益に重大な損害を与えると判断した。総選挙は必要だった」(10月30日付英紙デイリー・テレグラフ)とも述べ、解散総選挙に踏み切らざるを得なかった理由を説明している。
英国では2011年の任期固定法(議員任期中の首相の解散権不行使)により、17年の前回選挙から5年後の22年に次回総選挙が行われることが決まっている。それより前に総選挙を実施するには議会の3分の2の賛成が必要になる。ジョンソン首相はこれまで3度、事態打開のため、総選挙法案を議会に提出したが、いずれも3分の2の賛成という壁を突き破ることができなかった。
4度目の試みとなった今回はウルトラCとして、ジョンソン首相は10月29日、過半数の賛成で済む、いわゆるワンライン動議(首相が選挙日を12月12日に特定した1行だけの法案)を議会に提出。同時に、議会での可決を目指し、首相は保守党造反議員の21人のうち、10人の復党も決めた。その一方で、労働党のコービン党首も党内で下からの突き上げを受け、ようやく、「離脱日が延期され、3カ月間はノーディールがなくなった」(10月29日付テレグラフ紙)と、これまでの強硬姿勢をから解散総選挙で雌雄を決する方向に戦術転換した。これにより総選挙法案が圧倒的多数で可決されたのだ。
提供:モーニングスター社
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