<年末年始特集>2019年の国内株式型ファンドを振り返る-パフォーマンス復調も資金は大幅流出

株式

2019/12/30 18:07

 2019年の国内株式型ファンドのパフォーマンスは好調な結果となった。2019年の国内株式市場は世界的な株高基調を受けて大幅反発。国内株式型ファンドのパフォーマンスも、低調であった2018年から大きく反転している。

<国内株式型のリターンは前年の最下位から上位に>

 2019年の国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF等含む)のパフォーマンスを資産カテゴリー別(モーニングスター大分類別、特殊運用型を除く9分類)に見ると、9資産全てがプラスのリターンを獲得しており、7資産がマイナスであった2018年と対照的な結果となった。

 中でも「国内REIT型」は25.06%(*)となり、前年に続いてトップとなった。国内REITをめぐる環境は良好で、都心5区の空室率が過去最低水準にあるなどオフィス需要が旺盛なほか、低金利継続による資金調達コストの軽減も好感され、東証REIT指数は前年末比21.76%上昇している。

(*)本稿における、2019年のリターンおよび指数の上昇率はすべて12月26日時点。

 「国内REIT型」以外の他資産の2019年のリターンの順位は、概ね2018年と逆転する格好となった。「国内株式型」は19.69%で9分類中第3位となり、最下位に沈んだ2018年から大きく巻き返した。2019年の国内株式市場で、日経平均株価は前年末比19.54%、TOPIXは同15.87%と揃って急反発。NYダウが過去最高値を更新するなど、緩和的な金融政策に支えられた世界的な株高が波及した。

<「国内株式型」の中でも成長株投資のグロースが優位>

 「国内株式型」について、より細かい分類であるモーニングスターカテゴリーで見てみよう。大型、中型、小型の規模別にそれぞれバリュー、グロース、ブレンドのスタイルがあり、合計で9カテゴリーがある。2019年は9カテゴリーのリターンがすべてプラスに転換し、中でも成長株に投資するグロース株が優位。国内大型グロースは22.07%、国内中型グロースは21.22%、国内小型グロースは21.98%となり、調査対象とした61のモーニングスターカテゴリー(ブルベア型、および2019年11月末時点で本数が5本未満のカテゴリーを除く)内で第13-15位となった。2018年は国内中型グロースが58位であるなど下位に甘んじていたが、復調した。

 個別ファンドでは、国内大型グロースで「情報エレクトロニクスファンド」<1984022201>が49.61%、国内中型グロースでは「フィデリティ・セレクト・ファンド (テクノロジー)」<1999111902>が58.52%、国内小型グロースでは「SBI 中小型成長株ファンド ジェイネクスト(年2回決算型)」<2015121106>が35.38%となり、それぞれのカテゴリー内でトップとなった。

<資金流出入は国内大型グロース中心に厳しい結果>

 好調なパフォーマンスと対照的に、国内株式型ファンドの資金流出入は厳しい結果となった。19年(11月末まで)の純資金流出入額は1兆383億円の流出超過。2018年の1兆8191億円の流入超過から一転して大幅な流出超過となり、大分類9分類中で最下位となった。カテゴリー別で見ると、9カテゴリー全てが流出超過となり、8カテゴリーで流入超過であった2018年と様変わりした。中でもグロースの流出規模が大きく、国内大型グロースは4645億円の流出超過。調査対象とした全61カテゴリーでも流出超過額が最大となった。国内の株式市場が堅調に推移する中でも米中貿易問題や世界的な景気減速に対する懸念が拭えなかったことから、2018年に資金が流入していたグロースを中心に、利益を確定する動きが優勢であったとみられる。

 国内大型グロースには、日経平均株価と逆の動きをする傾向がある日経225に連動するインデックスファンドが含まれている。日経平均株価が強含んだ2019年4月、9月、10月の流出規模が大きくなっている。株式投資のように安く買って高く売ろうとする日経225連動型ファンドに対する投資家の考え方が表れている。

 2020年の国内株式市場の見通しは、米大統領選、それと関連した米中貿易摩擦問題、東京五輪後の国内景気動向などへの見方から、強弱が分かれている。とはいえ、株式市場の先行きを読むことは困難。国内株式市場とそれを受けた国内株式型ファンドを動向を予測しようとはせず、債券やREITなどの資産との分散を図り、リスクを抑制しながら安定した収益の獲得を図ることが求められる。

提供:モーニングスター社

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