米4月中古住宅販売件数、前月比17.8%減の年率433万戸―市場予想上回る

経済

2020/5/22 9:37

<チェックポイント>

●新型コロナウイルスの悪影響受け2カ月連続で急減

●3月と4月の大幅減少は「一時的」―NARエコノミスト

●販売価格(中央値)は28万6800ドル―前年比7.4%上昇と高水準続く

 NAR(全米不動産業協会)が21日発表した4月中古住宅販売件数(季節調整済み)は、新型コロナウイルス(COVID-19)による需要減少や感染防止の経済活動の抑制を受け、前月比17.8%減の年率換算433万戸と、3月の同8.5%減の527万戸に続いて2カ月連続で大幅に減少し、10年7月の22.5%減以来9年9カ月ぶりの減少率となった。また、季節要因を無視できる前年比も17.2%減と、10カ月ぶりに前年水準を下回った。ただ、市場予想の420万-432万戸を上回った。

 NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は今回の大幅減少について、「3月中旬から4月まで多くの州で続いたロックダウン(都市封鎖)により4月の住宅販売が寸断されたが、これは一時的で、中古住宅市場は依然、購入者を惹きつける魅力があり、住宅価格も押し上げられている」と一過性との見方を示している。

 その上で、同氏は、「住宅ローン金利が過去最低水準にあり、こうした低金利は年末まで続く可能性が高い。経済活動が着実に再開されれば、中古住宅への需要をけん引する力となる」と見ている。ただ、「住宅価格が高止まりしているため、今後、中古住宅の供給と新築住宅の建築が増えることが販売回復のカギを握る」と指摘している。

 住宅供給の過不足感を示す4月時点の未販売住宅(在庫)は前月比1.3%減の147万戸と、前月の同2.0%増から減少に転じた。また、同月の販売ペースに換算した在庫水準は4.1カ月分と、3月の3.4カ月を上回ったが、1年前の4.2カ月分や適正水準とされる6カ月分もかなり下回っており、住宅供給不足の状況が住宅販売の足かせとなっている。

 中古住宅の販売ペースをみると、販売物件が4月中に市場に残っていた期間は27日間と、3月の29日間から短期化した。4月中に販売された物件のうち、全体の56%(3月は52%)が市場に出てから1カ月弱で販売され、3月と比べ販売ペースが加速した。

 地域別の販売件数を見ると、全米4地区のすべてで減少した。西部が前月比25%減(前年比27%減)の81万戸と急減したほか、全体の4割以上を占め最もウエートが大きい南部は同17.9%減(同16.8%減)の188万戸、中西部は同12%減(同8.3%減)の110万戸となった。北東部は同16.9%減(同18.2%減)の54万戸だった。

 住宅供給不足と高水準の住宅価格が続く中、4月の新規住宅取得者の比率は36%と、1年前の32%や3月の34%を上回った。コロナ危機の中で新規住宅取得者の比率が高かったのは、不動産会社は顧客にバーチャルツアーで住宅を紹介したことや、住宅ローン金利が過去最低水準にあるため、多くの新規住宅取得者にとって住宅購入が可能な状態が続いているためとみられる。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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