<新興国eye>ハンガリー中銀、政策金利を据え置き

新興国

2020/5/27 12:03

 ハンガリー中央銀行は26日の金融理事会で、主要政策金利である3カ月物固定預金金利(ベース金利)を過去最低の0.90%に据え置いた。また、ベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利をマイナス0.05%、上限を示す翌日物有担保貸出金利および7日物有担保貸出金利をそれぞれ1.85%に、いずれも据え置いた。

 中銀は4月7日の臨時会合で、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界流行)の影響を回避するため、インターバンク市場の銀行間取引を活発化(貸出増加)させ、市場の流動性が高めることを狙って、ベース金利のコリドーを広げることを決め、ベース金利の上限を示す翌日物有担保貸出金利と7日物有担保貸出金利をそれぞれ0.90%から1.85%に引き上げていた。すべての政策金利を据え置くのは前回4月28日の通常会合に続き、2会合連続。

 中銀は政策金利を据え置いたことについて、「現在の(パンデミックという)異常な経済環境下での中銀の使命は、物価を安定させ、金融市場の混乱を防ぎ、政府の経済政策を支えることだ。この使命の達成のため、パンデミックの実体経済や金融市場への悪影響を緩和し、経済成長を再起動するために必要な状況を作ることが中銀にとって喫緊の課題だ」と低金利水準を維持する考えを示した。

 景気の見通しについては、「1-3月期のGDP(国内総生産)はパンデミックの悪影響を受けながらも前年比2.2%増となったが、今年上期(1-6月)はかなり成長率が鈍化する可能性が高い」とした。ただ、「その後はパンデミックの悪影響が後退し、経済成長率は再び上向く」と予想している。

 インフレ見通しについては、「4月にインフレ率は原油価格の下落により、物価目標(3%上昇)を下回ったが、今後は物価目標の水準で徐々に落ち着く」と予想。20年のコアインフレ率の見通しについては、「3.2-3.5%上昇となり、その後、3.0%上昇に徐々に収束する」と見ている。

 また、4月の臨時会合で、中銀は金融市場に流動性を潤沢に供給するため流通市場で国債とMBS(不動産担保証券)を買い取る量的金融緩和(QE)策の導入を決め、すでに5月4日から開始しているが、今回の会合で、「買い取り措置により、長期国債の利回りはかなり低下した」と期待通りの効果を上げたとした上で、「パンデミックが続いている間、経済を支え、その後、経済を再起動させるために役立つ」とQE政策の継続を決めた。

 QEでは残存期間3年以上で、フォリント建ての固定金利型国債を対象とし、銀行だけでなく、ノンバンクからも市場価格で買い取っている。MBSについては、プライマリー市場(起債市場)と流通市場の両方で、これも残存期間3年以上のフォリント建て固定金利型MBSを買い取っている。

 次回の金融政策決定会合は6月23日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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