米5月住宅着工件数、前月比4.3%増の97.4万戸―市場予想下回る

経済

2020/6/18 9:38

<チェックポイント>

●着工件数、アパートが急増、一戸建ては微増

●建築許可件数、前月比14.4%増―4カ月ぶりに増加に転じる

●一戸建て完成件数、前月比7.3%減―3カ月連続で大幅減少

 米商務省が17日発表した5月住宅着工件数(季節調整値)は年率換算で前月比4.3%増の97万4000戸と、4月の同26.4%減(改定前は30.2%減)の93万4000戸から4カ月ぶりに増加に転じた。

 また、過去2カ月の着工件数の改定値は計3万6000戸の上方改定となった。3月は前回発表時の127万6000戸から126万9000戸へ、7000戸の下方改定となったが、4月は89万1000戸から93万4000戸へ、4万3000戸の上方改定となった。これにより、過去3カ月(3-5月)の月平均は105万9000戸と、4月時点の月平均125万7000戸を大幅に下回っている。

 市場では、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界的流行)がピークを過ぎ、5月からロックダウン(都市封鎖)を緩和する州が増え始めたことや、労働形態もオンラインで日常業務のコミュニケーションを行うテレワークにシフトし、住宅購入需要が増え始めることから、消費者は住宅市場に戻ると見て、109万5000戸(前月比23.5%増)を予想していた。思ったほど伸びなかったのは、特に、ニューヨーク都市圏のロックダウンの一部解除が5月15日に出遅れた影響が大きいとみられる。

 カテゴリー別では、月ごとに変動が激しいアパート(5世帯以上)が前月比16.9%増の29万1000戸と、4カ月ぶりに増加した。その一方で、主力の一戸建ては同0.1%増の67万5000戸にとどまったが、4月の同23.4%減から3カ月ぶりに増加に転じ、下げ止まった。

 一戸建ての地域別の着工件数は、北東部が前月比63.6%増と最も高い伸びとなり、全体の約3割を占める西部も同21.5%増となった。しかし、全体の約5割を占める南部は同6.9%減、中西部も同16%減と、大幅に落ち込んだ。この結果、アパートを加えた全体では、北東部が同12.8%増、西部は同68.9%増と急増したが、南部は同16.0%減、中西部も同1.5%減と、いずれも減少した。

 一方、前年比は23.2%減と、4月の同26.3%減に続いて2カ月連続で前年水準を下回った。アパート(5世帯以上)は同33.1%減と、一戸建ても同17.8%減となっている。

 先行指標である住宅建築許可件数は一戸建てとアパート(5世帯以上)がいずれも前月比で大幅増加に転じ、全体では前月比14.4%増の122万戸と、4カ月ぶりに増加に転じた。ただ、市場予想の126万戸をやや下回った。

 内訳はアパート(5世帯以上)が前月比18.3%増(前月は同13.8%減)の43万4000戸と、増加に転じた一方で、一戸建ても同11.9%増の74万5000戸と、前月の同24.7%減から3カ月ぶりに増加に転じた。通常、一戸建ての場合、建築許可を受けてから6カ月後に着工し、2世帯以上の集合住宅の場合は1年後に着工となり時間差がある。このため、一戸建ての建築許可件数の影響は今後数カ月先に現れる。

 完成住宅件数は、前月比7.3%減の111万5000戸となった。一戸建てが同9.8%減の79万1000戸と、4月の同3.3%減の87万7000戸に続いて3カ月連続の減少となり、住宅供給不足懸念が強まった。アパート(5世帯以上)は同2.2%減だった。

 他方、建築中件数は、前月比1.4%減の117万2000戸と、3カ月連続で減少し、2カ月連続の120万戸割れとなった。一戸建てが同2.1%減の50万3000戸、アパート(5世帯以上)が同0.6%減の65万8000戸となった。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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