米5月中古住宅販売件数、前月比9.7%減の年率391万戸―市場予想下回る

経済

2020/6/23 10:09

<チェックポイント>

●販売件数、3カ月連続大幅減―パンデミックの影響を最も受けた3-4月契約件数を反映

●6月以降の販売件数は回復へ―5月住宅ローン申請件数が前月比で急増

●5月未販売住宅(在庫)は4.8カ月分―前月から増加

 NAR(全米不動産業協会)が22日発表した5月の中古住宅販売件数(季節調整済み)は、前月(4月)と同様、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界的流行)による需要減少や感染防止の経済活動の自粛の悪影響を受け、前月比9.7%減の年率換算391万戸と、4月の同17.8%減の433万戸や3月の同8.5%減の527万戸に続き、3カ月連続の大幅減少となった。また、市場予想の398万-409万戸に対しても下回った。季節要因を無視できる前年比も26.6%減と、4月に続いて2カ月連続で前年水準を下回った。

 地域別の販売件数を見ると、全米4地区のすべてで急減した。特に北東部は前月比13%減(前年比29.9%減)の47万戸となった。西部も同11.1%減(同35.1%減)の72万戸、全体の4割以上を占め最もウエートが大きい南部も同8.0%減(同25.1%減)の173万戸、中西部も同10%減(同20.2%減)の99万戸となった。

 NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は販売件数(前月比)の3カ月連続大幅減について、「5月はパンデミックの悪影響が最も厳しかった3-4月に住宅取得契約書にサインした時点の結果が反映されたもの」としたが、ロックダウン(都市封鎖)が段階的に解除され、経済活動が再開した6月以降の統計見通しについては、「住宅販売件数が回復し、下期(7-12月)には前年水準を超える可能性がある」と楽観的に見ている。

 市場でも、直近で住宅ローンの申請件数が急増し、11年ぶりの高水準となっていることから、今後の販売戸数の増加を予想している。米MBA(抵当銀行協会)が16日発表した5月の住宅ローン申請指数(季節調整値)は前月比26.1%増の53万3000件と急増した。この背景には住宅ローン金利が過去最低となっていることがある。

 住宅供給の過不足感を示す5月時点の未販売住宅(在庫)は前月比6.2%増の155万戸と、4月の同2.0%減から増加に転じた。また、同月の販売ペースに換算した在庫水準は4.8カ月分と、4月の4カ月分や3月の3.4カ月を上回り、1年前の4.3カ月分を上回った。

 中古住宅の販売ペースをみると、販売物件が5月中に市場に残っていた期間は26日間と、4月の27日間から短期化した。5月中に販売された物件のうち、全体の58%(4月は56%)が市場に出てから1カ月弱で販売され、いずれも在庫不足を反映し、4月と比べ販売ペースが加速したことを示す。

 一方、中古住宅価格の中央値は前月比0.7%低下の28万4600ドルと、4カ月ぶりに低下したものの、長引く住宅供給不足を背景に前年比では2.3%上昇と、99カ月連続で前年水準を上回った。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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