<新興国eye>ルーマニア中銀、政策金利を0.25%引き下げ―新型コロナ感染再拡大で

新興国

2020/8/6 11:23

 ルーマニア国立銀行(中銀)は5日の金融政策決定会合で、主要政策金利である1週間物レポ金利を0.25ポイント引き下げ、1.50%にすることを決めた。

 また、主要政策金利の±1.00ポイントのレンジの上限にあたる市中銀行に資金供給するためのロンバート型貸出金利を2.00%、下限にあたる資金吸収のための預金金利を1.00%と、いずれも0.25ポイント引き下げた。これらの新金利は6日から実施される。

 中銀は18年7月から20年2月まで14会合連続で政策金利を据え置いていたが、その後、新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的流行)による国内経済への悪影響が懸念されたことから、3月20日の緊急会合で政策金利を0.50ポイント引き下げ、前回5月会合でも0.25ポイント引き下げた。今回の追加利下げは20年に入って3回目となり、下げ幅は計1.00ポイントに達した。

 市中銀行が中銀に預ける預金準備率については、自国通貨建ての預金準備率を8.00%に、外国通貨建ての預金準備率を6.00%にいずれも据え置いた。このほか、資金流動性の潤沢供給のため、引き続き、流通市場での国債買い入れと公開市場操作(オペ)を通じた資金供給を継続することも決めた。

 中銀は追加利下げを決めたことについて、「前回5月会合以降の経済指標はパンデミックの経済への悪影響が厳しいことを示している」とし、引き続き景気支援の追加金融緩和が必要との見方を示した。ただ、「5月から始まった経済活動の抑制措置が徐々に緩和され、その効果が経済や金融市場にも及んでいる」ことから0.25ポイントの小幅利下げにとどめたとしている。

 また、「7月から始まった新型コロナ感染の再拡大とそれに伴う経済活動の抑制が経済活動の回復ペースに悪影響を及ぼす可能性がある」とした上で、「短期的にはパンデミックは景気回復のペースや道筋だけでなく、政府の経済支援措置や中銀の金融政策措置に重くのしかかる」とし、景気やインフレの見通しが不透明なことを考慮して利下げを決めたとしている。

 インフレの現状認識については、「5月のインフレ率は前年比2.26%上昇と、4月の2.68%上昇から伸びが鈍化したが、6月は2.58%上昇と、物価目標(中央値2.5%上昇)をやや上回った。しかし、低下傾向にある」とし、5月に発表した四半期インフレ報告書の経済予測でもインフレ率は今後、物価目標に向かって収束すると楽観的に見ている。

 5月経済予測では20年12月末時点で2.8%上昇、21年12月末時点で2.5%上昇と、物価目標に収束し、22年も2.5%上昇が維持されると見ている。中銀は今回の会合で最新の8月四半期インフレ報告書(6日発表予定)を承認したが、「年末までのインフレ率は前回5月予想よりやや高めとなるものの、その後は物価目標の2.5%上昇の水準に収束する」としている。

 次回の金融政策決定会合は10月5日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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