<新興国eye>チェコ中銀、政策金利を据え置き―2会合連続

新興国

2020/8/7 11:28

 チェコ国立銀行(中央銀行)は6日の金融政策決定会合で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界大流行)からチェコ経済が回復軌道に乗り、インフレ率も最近、急速に上昇していることを受け、追加利下げの必要性がないと判断し、政策金利の2週間物レポ金利を過去最低の0.25%に据え置くことを決めた。

 中銀は2月会合で、9カ月ぶりに利上げ(0.25ポイント)を再開したものの、パンデミックによる経済への悪影響が強まったことを受け、3月16日に緊急会合を開き、急きょ0.50ポイント引き下げた。その後、3月27日の通常会合でさらに0.75ポイント、5月会合でも同率の大幅引き下げを決めた。この3会合連続の利下げにより、下げ幅は計2.00ポイントに達した。政策金利の据え置きは前回6月会合に続いて2週連続。

 中銀は声明文で、現状維持を決めたことについて、「パンデミックによるチェコ経済への悪影響は家計消費を支えるための財政支出と相まって、政府消費支出の急拡大により、緩和されている」とし、パンデミックによる景気悪化懸念が後退したことや、6月のインフレ率が前年比3.3%上昇と、予想以上の高い伸びを示し、物価目標の許容レンジ(1-3%上昇)を超えたことを挙げている。また、「今後もインフレ率は経済活動の再開で企業がこれまでの売上減少を取り戻すための生産拡大と生産コストの上昇により、年内は物価目標の許容レンジを超え続ける」との見通しを示した。

 中期のインフレ見通しについては、「金融政策のタイム・ホライズン(時間軸)、つまり、21年下期(7-12月)には、経済活動や需要が急速に低下するため、インフレ率は物価目標(中心値2%上昇)近くに収束する。その後も通貨コルナの上昇や雇用市場が落ち着くことにより、22年まで物価目標に近い水準で推移する」と楽観的に見ている。

 中銀が今回発表した最新の経済予測によると、インフレ率は21年7-9月期が前年比2.2%上昇(前回予想は2.1%上昇)、21年10-12月期も同2.2%上昇(同2.3%上昇)と予想している。また、GDP伸び率については、20年がマイナス8.2%(同マイナス8%)と、大幅下落を予想しているが、21年はプラス3.5%(同プラス4%)、22年はプラス4%になるとみている。その上で、中銀は、「チェコの成長率は22年末までパンデミック前の水準に達しない」との見方を示している。

 次回の通常会合は9月23日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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