<新興国eye>チェコ中銀、政策金利を据え置き―3会合連続

新興国

2020/9/24 11:29

 チェコ国立銀行(中央銀行)は23日の金融政策決定会合で、政策金利の2週間物レポ金利を過去最低水準の0.25%に据え置くことを決めた。

 中銀は20年2月会合で、19年5月以来9カ月ぶりに利上げ(0.25ポイント)を再開したものの、新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的流行)による経済への悪影響が強まったことを受け、翌3月16日に緊急会合を開き、急きょ0.50ポイント引き下げた。その後、3月27日の通常会合でさらに0.75ポイント、5月会合でも同率の大幅引き下げを決めた。この3会合連続の利下げにより、下げ幅は計2.00ポイントに達したことから、利下げの効果を見守るため、6月会合から政策金利の据え置きに転じた。これで据え置きは前回8月会合を含め、3会合連続となる。

 中銀は会合後に発表した声明文で、現状維持を決めたことについて、「前回8月会合で公表した最新のマクロ経済予測と前回会合後の経済指標に基づいて金融政策を決定した」とした上で、「(経済成長やインフレ、雇用情勢などは)これまで経済予測の標準シナリオ通りに順調に推移している。国内市場金利は21年半ばまで安定し、その後、徐々に上昇していく」と述べた。

 金融政策決定に大きな影響を与えるインフレ見通しについては、「7-9月期の国内の消費者物価指数を構成する個々の物価は経済予測から大なり小なり乖離しているものの、おおむね、経済予測通りとなっている」とした上で、「今の経済予測ではインフレ率は金融政策が波及する一定の期間内、つまり、21年下期(7-12月)には物価目標(中心値2%上昇)近くに収束する」との見方を示した。

 パンデミックによるチェコ経済への悪影響については、「4-6月期は前期比マイナス約9%、前年比はマイナス11%と、経済予測より1ポイントも小さくなった」とし、景気悪化懸念が後退していることを強調。失業率についても、「春の失業率の伸びは経済予測通りだった。7-9月期の経済データでも失業率はこれまでのところ、驚くほど高まっていない」と指摘している。

 経済見通しのリスクについては、「現在の新型コロナの感染状況(感染再拡大)は将来の経済見通しの不確実性を高めている」としている。また、「感染再拡大による国内景気の減速だけでなく、政府の景気支援のための積極財政が(インフレを加速させ)21年のチェコ経済にとって逆効果となる可能性もある」と警戒している。

 中銀が発表した8月経済予測では、インフレ率は21年7-9月期が前年比2.2%上昇、21年10-12月期も同2.2%上昇と予想。また、GDP(国内総生産)については、20年がマイナス8.2%と、大幅下落を予想しているが、21年はプラス3.5%、22年はプラス4%と、景気回復を予想している。その上で、「チェコの成長率は22年末までパンデミック前の水準に達しない」との見方を示している。

 次回の通常会合は11月5日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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