米9月雇用統計、非農業部門雇用者数は前月比66.1万人増―市場予想下回る

経済

2020/10/5 9:46

<チェックポイント>

●雇用者数、3カ月連続で伸び鈍化―一時帰休者の職場復帰は前月から半減

●失業率は7.9%―市場予想8.2%、5カ月連続で低下

●平均時給、前月比0.1%増―市場予想下回る

 米労働省が2日発表した9月雇用統計で、非農業部門雇用者数は、前月比66万1000人増となったものの、6月の478万1000人増以降、3カ月連続で伸びが鈍化。また、市場予想の85万人増を大幅に下回った。新型コロナウイルスの感染者が多くの州で再拡大し、経済活動の再開が抑制された影響が出た。

 一方、過去2カ月(7-8月)の雇用者数は、8月が前月比137万1000人増から同148万9000人増に、7月も同173万4000人増から同176万1000人増にそれぞれ上方改定された。

 非農業部門雇用者数の内訳は、民間部門が前月比87万7000人増と、8月の同102万2000人増(前回発表時は同102万7000人増)に続き、5カ月連続の増加となった。他方、政府部門は連邦政府の国勢調査が終了したほか、多くの州政府で予算が削減されたことやリモート学習の普及で教職員の採用が減少したため、前月比21万6000人減と、4カ月ぶりに減少に転じ、全体の押し下げに寄与した。

 業種別では、建設業や製造業に加え、パンデミック(感染症の世界的流行)の影響を最も強く受けたサービス業、なかでもレジャー・接客業(主にレストラン・バーなどの飲食業)や専門・ビジネスサービス業、小売業、教育・ヘルス(健康サービス)業が引き続き大幅増となった。

 失業率は7.9%と、5カ月連続で低下し、市場予想の8.2%も下回った。また、いわゆる、広義の失業率(狭義の失業者数に仕事を探すことに意欲を失った労働者数と経済的理由でパート労働しか見つからなかった労働者数を加えた実質の失業率)は季節調整後で12.8%と、8月の14.2%低下した。

 失業者数のうち、約37%に相当する460万人(8月は46%に相当する約616万人)がパンデミックを受けた経済活動の自粛によって発生した「一時帰休による失業者」に分類されている。9月はこの一時帰休者数が前月に比べ約150万人減少した。これはその分、経済活動の再開により、職場復帰したことを意味する。8月は前月比307万人減だったので、およそ半分しか職場に復帰していない。

 さらに、労働市場への参加の程度を示す労働参加率(軍人を除く16歳以上の総人口で労働力人口を割ったもの)も61.4%と、8月の61.7%から低下。パンデミックが始まったばかりの3月の62.7%や2月の63.4%も下回る。多くの労働者、特に女性が仕事を積極的に探すことを諦めていることを物語っており、景気回復が長期化する可能性が高まっていることを示す。

 また、市場が注目していた賃金(平均時給)の伸びは、前月からわずか0.1%増と、8月の0.3%増を下回り、3カ月ぶりに減少。市場予想の同0.2%増も下回った。政府の追加景気刺激策がなければ、今後の個人消費の伸びを抑制することになりそうだ。

 統計発表後、ニューヨーク株式市場ではトランプ大統領の新型コロナ感染・自主隔離の報道も相まって、景気回復ペースの鈍化が強く意識され、ダウ工業株30種平均は売り優勢となった。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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