米9月住宅着工件数、前月比1.9%増の141.5万戸―市場予想下回る
2020/10/21 11:09
<チェックポイント>
●主力の一戸建てが5カ月連続増加―アパートが急減
●許可件数、14年ぶり高い伸び―一戸建てが急増
●一戸建て完成件数、増加に転じる
米商務省が20日発表した9月住宅着工件数(季節調整値)は年率換算で前月比1.9%増の141万5000戸と、8月の同6.7%減(改定前は5.1%減)の138万8000戸から増加に転じた。市場予想の143万-147万戸を下回ったが、過去3カ月(7-9月)の月平均は143万戸と、8月時点の月平均(6-8月)138万戸を上回っており、緩やかな回復傾向は続いている。
着工件数の内訳は、月ごとに変動が激しいアパート(5世帯以上)が前月比14.7%減の29万5000戸と、8月の同28.7%減に続いて、2カ月連続の大幅減少となった一方で、主力の一戸建ては同8.5%増の110万8000戸と、5カ月連続で増加した。
一戸建ての地域別の着工件数は、北東部が前月比20.7%増と、3カ月ぶりに増加に転じ、最も高い伸びとなった。次いで、全体の約6割を占める南部が同17.7%増と、4カ月連続で増加し、13年ぶりの高い伸びとなった。全体の約2割を占める西部も同1.6%増となったが、中西部だけが同16.4%減と、4カ月ぶりに減少した。この結果、急減したアパートを加えた全体では、北東部が同66.7%増、南部も同6.2%増、西部も同1.4%増となったが、中西部は同32.7%減と、大幅減となった。
過去の着工件数は、7月が前回発表時の149万2000戸から148万7000戸、8月が141万6000戸から138万8000戸と、2カ月合計で3万2000戸の大幅な下方改定となった。
先行指標である住宅建築許可件数は、アパートが小幅増にとどまったものの一戸建てが前月比で大幅増となったことで、全体では前月比5.2%増の155万3000戸と、07年3月(159万6000戸)以来13年6カ月ぶりの高い伸びとなった。市場予想の151万-152万戸も上回った。
一戸建ての完成住宅件数は前月比2.1%増の92万1000戸と、8月の同4.9%減の90万2000戸から増加に転じた。また、バックログ(建築許可が下りたあと、未着工となっている件数)も需要の高さを反映し、一戸建ては同4%増の10万4000戸と、3カ月連続で増加した。これは08年2月(10万5000戸)以来約12年7カ月ぶりの高水準となっている。全体の完成件数は、アパート(5世帯以上)が同52.4%増と、急増したため、同15.3%増の141万3000戸となった。
一戸建ての建築中件数は前月比2.7%増の53万9000戸と、4カ月連続の増加となったが、アパート(5世帯以上)は同1.9%減の65万9000戸となったことから、9月全体では同横ばい(前年比は4.6%増)の120万9000戸と、8月までの3カ月連続の増加の勢いが止まった。
市場では10月以降の着工件数についても回復傾向が続くと楽観的に見ている。7月以降、新型コロナの感染第2波で多くの州が外出制限など経済活動の規制を再開したため、住宅購入希望者は自宅待機に追い込まれているものの、新築住宅の場合は中古住宅と違い、実際に物件を下見する必要性が低く、VR(バーチャルリアリティ)で確認できることや、リモートワークにシフトして住宅購入需要が増え続けること、さらには、中古市場の物件供給がパンデミックの影響で抑えられ、在庫不足となるため、新築住宅にシフトしやすいとみられている。
<関連銘柄>
NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、
SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、
NYダウベア<2041.T>
提供:モーニングスター社
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