米国株価の史上最高値更新でリスクを意識、「UBSゴールド・ファンド」が示す分散効果に注目

投信

2021/1/21 17:32

 米国でバイデン大統領の就任式が行われた1月20日、米国の主要株価指数は揃って史上最高値を更新した。昨年来の株高で高値警戒感が強い株式への投資は、一段と慎重になるところだ。リスク管理の手法としては、株式以外の資産や米国以外の地域の株式への分散投資、また、「積立投資」のように時間を分散して投資する方法などもある。昨年来の米国株式の上伸によって、米国株式の保有比率を高めた投資家にとっては、これまでにも増してリスク管理が重要になってきているといえるだろう。

 分散投資によるリスク低減効果がある資産として昨年から注目されているのが金(ゴールド)だ。金は、保有しているだけでは利息・配当等の収益を生み出さないために、従来は分散投資の資産配分先には位置付けられてこなかった。しかし、昨今では、先進国国債の利回りがマイナス圏に低下し、国債等の債券利回りが歴史的な低水準に落ち込む中で、債券と同等の「安全資産」として金に注目する投資家が増えている。

 そもそも金については、金融危機や地政学リスクが高まる局面で資金の逃避先として選ばれる傾向が強かった。株式も債券も投資しているリスクが高いと感じられる局面で、最後に資金を逃がす先というイメージだ。実際に、昨年3月のコロナショック(2019年12月末-2020年3月末)の時にドルベースで世界株式が21%下落する中、金価格は6%上昇した。また、2008年のリーマン・ショック(世界金融危機:2008年8月末-2009年2月末)にも、世界株式は43%下落したものの、金価格は14%値上がりした。

 2020年11月27日に設定されたUBSアセット・マネジメントの「UBSゴールド・ファンド」は、信託報酬率が税込み0.505%(投資対象の「UBS ETF(CH)ゴールド(USD)」の報酬を含む)という低いコストが特徴だ。UBSグループの本拠地であるスイスでは、金が主要な投資対象として取引され、スイスの法律のもとで金は現金同等物に分類され、取引において関税や付加価値税が免除されるメリットがある。スイスにおける金の主要取り扱い金融機関であるUBSグループだからこそ、金に投資するファンドも低コストで提供できるとしている。従来は、ブラックロック・ジャパンの「iシェアーズ ゴールドインデックス」の信託報酬率が0.5085%(投資対象のETFの報酬込み)で最も低かったが、この水準を下回った。

 なお、「UBSゴールド・ファンド」の設定来の基準価額の推移を振り返ると、米国株式(S&P500)との間で今年に入って逆相関の関係(株安局面でゴールド・ファンドの値上がり)になっていることが見て取れる。株式とは違う要因で動く価格変動資産として金が有効であることを示す事例だ。

提供:モーニングスター社

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