<中原圭介の相場観>30年半ぶりの株高でも個人投資家が盛り上がらない理由

株式

2021/2/24 16:40

 今の株価の特異点は、一部の個別株に物色が集中しているところだ。例えば、日経平均株価の上昇寄与度が高いトップ5の銘柄と、その他の220銘柄に分解してみると前者の上昇率は際立っている

 昨年を通じたパフォーマンスを見ると、上昇寄与度の高いトップ5(ファーストリテイリング<9983.T>、ソフトバンクグループ<9984.T>、東京エレクトロン<8035.T>、ダイキン工業<6367.T>、エムスリー<2413.T>)が85%だったのに対して、その他の220銘柄はマイナス3.4%だった。さらに、昨年初-今年2月19日時点では、トップ5が97.4%上昇したのに対して、その他は5.8%高にすぎない。

 日経平均は30年半ぶりの株高を付けたものの、個人投資家が意外に儲かっていない理由にはこのいびつな構造に他ならない。。TOPIX(東証株価指数)や米国の主要株価指数のS&P500をベースにしても同じ傾向が見て取れる。

 結果として、ファーストリテイリングなどの値がさ株だけを保有していた人が最も成功している。しかし、値がさ株は購入しようとしても値が張るため、一般的な個人投資家にとってハードルが高い。

 ただ、一方で個人の中でも大きな利益を得た人々がいる。それは、コロナ・ショックの初期に選ぶ銘柄を間違えなかった投資家に多い。テレワーク、Eコマース、巣ごもり消費、宅配などの関連株だ。これらに昨年3-4月に集中投資して利益を確定できた投資家ほどパフォーマンスは高かっただろう。

 しかし、目下のところこれらは昨年に株価のピークを打ち、大幅な調整を強いられているものが多い。最初のチャンスに乗り遅れていた人が、調整の過程で押し目と思って買い、含み損を抱えてしまったケースも少なくないと推測される。

 個人投資家に再び大きなチャンスが訪れるとすれば、値がさ株も含めた相場全体が暴落するような場合になるのかもしれない。(アセットベストパートナーズ 中原圭介)

提供:モーニングスター社

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