米1月新築住宅販売件数、前月比4.3%増の92.3万戸―市場予想上回る

経済

2021/2/25 11:00

<チェックポイント>

●2カ月連続で増加―3カ月ぶりに90万戸台に持ち直す

●主力の南部と西部、中西部で増加―北東部は大幅減

●住宅価格(中央値)は前月比1.9%低下

 米商務省が24日発表した1月新築住宅販売件数(季節調整済み)は前月比4.3%増の年率換算92万3000戸と、20年12月の同5.5%増(改定前は1.6%増)から2カ月連続の増加で、市場予想の85万-85万6000戸を大幅に上回った。季節要因を無視できる前年比は19.3%増と、12月の21.1%増(改定前は15.2%増)に続いて9カ月連続で前年水準を上回った。

 最近の新築住宅の販売件数の推移を見ると、パンデミック(感染症の世界的大流行)の悪影響が及んだ20年3月統計は前月比14.5%減の61万2000戸と大幅減に転じ、4カ月ぶりに70万戸を割り込んだが、5月以降は増加し、7-10月は90万戸台に急回復。11月と12月は80万戸台に鈍化したが、1月は3カ月ぶりに90万戸台に持ち直した。

 販売件数の内訳を見ると、着工前時点での販売件数、つまり、バックログ(建築許可が下りたあと、未着工となっている件数)は前月比21.9%増の28万4000戸と、12月の同13.1%減(改定前は8.2%増)から大幅に改善した。一方、建築中の新築住宅の販売件数は同1.6%増の38万4000戸と、12月の同8.6%増(同7.0%減)に続いて2カ月連続で増加した。

 住宅価格は中央値(季節調整前)が前月比1.9%低下の34万6400ドルと、12月の同0.9%上昇から伸びが大幅に鈍化した。

 販売価格帯をみると、40万ドル以上の高額物件の販売比率が36%と、12月の35%を上回った一方で、15万ドルから40万ドル未満の手ごろ物件の比率は12月の65%から64%に低下し、高額物件にシフトした。

 地域別の販売件数は、全体の約6割を占め、販売件数が最も多い南部が前月比3.0%増の53万3000戸と、2カ月連続で増加し、引っ越し先として人気が高い。また、全体の約2割を占め、南部に続いて販売件数が多い西部は同6.8%増(同6.3%減)の23万6000戸となった。中西部も同12.6%増(同10.3%増)の10万7000戸と急回復。対照的に、北東部は同13.9%減(同8.8%減)の3万1000戸と一段と落ち込んだ。

 住宅供給(在庫)をみると、1月の新築住宅在庫(着工前や建築中の住宅も含む。季節調整値)は前月比2.7%増の30万7000戸と、3カ月連続で増加し、5月(31万1000戸)以来8カ月ぶりの高水準となった。これを1月の販売ペースで計算した新築住宅の在庫水準は4カ月相当と、12月の4.1カ月分を下回り、20年10月(3.5カ月相当)以来3カ月ぶりの低水準となった。

 新築住宅市場は住宅供給不足により、住宅価格が押し上げられ、また、最近の住宅ローン金利の上昇傾向により、住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)が悪化し、住宅販売にとって逆風となる可能性がある。ただ、市場の一部では、住宅需要は依然強く、今後、ワクチン接種の普及や春先の気温上昇、住宅供給不足が深刻な中古住宅市場から新築住宅市場へのシフトで、新築販売は堅調になるとの見方も出ている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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