<新興国eye>インドネシア中銀、政策金利を据え置き―市場予想通り

新興国

2021/3/19 15:54

 インドネシア中央銀行(BI)は18日の理事会で、主要政策金利の1週間物リバースレポ金利を過去最低水準の3.50%に据え置くことを決めた。市場予想通りだった。

 また、過剰流動性を吸収するための翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も2.75%、翌日物貸出ファシリティー金利も4.25%と、いずれも据え置いた。

 中銀は新型コロナのパンデック(感染症の世界的大流行)による景気悪化を受け、景気回復を支援するため、20年の2月から利下げを再開。7月まで4会合連続の利下げを決めた。利下げ幅が計1.00ポイントに達したことから8月は据え置きに転換。10月まで3会合連続で現状維持とした。しかし、国内経済が2期連続でマイナス成長となったため、11月会合で7月以来、4カ月ぶりに0.25ポイントの利下げに踏み切った。利下げ幅が計1.25ポイントに達したため、利下げ効果を見るため、20年12月会合で据え置きに転じた。しかし、前回2月会合で20年11月以来、3会合ぶりに利下げを再開。利下げ幅も計1.50ポイントに広がっていた。

 中銀は政策金利を据え置いたことについて、「今回の据え置き決定は(最近の米国債利回りの急上昇により)世界の金融市場の見通しが不透明となっている中、(急落している)通貨ルピア相場を安定させる必要性を考慮した」とした。その上で、「景気回復の勢いを支援するため、金融緩和的なマクロ・プルーデンスな政策(金融システムの安定を目指した政策)や金融部門の深化(公開市場操作)など非伝統的な手段を講じていく」とした。

 また、中銀のペリー・ワルジョ総裁は、会合後の会見で、「世界的に国債利回りが上昇していることを考えると、サプライズではない」とし、追加利下げによる行き過ぎた景気刺激がインフレと長期金利を上昇させるだけでなく、通貨ルピア相場の下落を助長することに配慮したとしている。

 さらに、同総裁は、利下げを決定した前回2月会合時と同様、「追加利下げ余地がなくなってきた」ことを改めて強調した。同総裁は前回会合時、「今後、景気を押し上げるため、量的金融緩和(QE)やマクロ・プルーデンスな政策などのような非伝統的な手段に依存する可能性がある」とし、QE政策を一段と強化したい考えを示している。この発言を受け、市場では中銀は前回会合で利下げサイクルに終止符が打たれたとみている。

 中銀はポリシーミックスの一環として、20年7月初め、総額903兆4600億ルピアの新型コロナ危機対策費を政府と共同で負担するため、397兆5600億ルピアの新発国債の直接引き受けを含め、全体の6割超にあたる574兆4000億ルピアを負担することで合意し、昨年1年間で約473兆4200億ルピア相当のSBN(短期国債)を買い取った。今年に入ってからも3月16日までに新たに50兆2900億ルピア相当のSBNを買い取ったとしている。また、昨年から中銀はQE政策として、金融システムへの流動性の供給を開始しており、これまでにGDP(国内総生産)の5.03%に相当する776兆8700億ルピアを供給している。

 インフレ見通しについて、21年のインフレ率が物価目標(3%上昇±1%)内に抑制されるとの見通しを据え置いた。2月のインフレ率は前年比1.38%上昇と、1月の1.55%上昇を下回っている。また、21年の景気見通しを従来予想の前年比5-7%増から4.3-5.3%増に下方修正した。下方修正は2会合連続。

 次回の金融政策決定会合は4月19-20日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 アジア債券<1349.T>、iS新興国<1362.T>、上場EM債<1566.T>、

 iSエマジン<1582.T>、アセアン50<2043.T>

提供:モーニングスター社

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