<新興国eye>トルコ中銀、主要政策金利を19.00%―市場予想上回る2.00ポイント利上げ

新興国

2021/3/19 16:10

 トルコ中央銀行は18日の金融政策決定会合で、通貨リラ安を阻止し、インフレ加速を抑制するため、主要政策金利である1週間物レポ金利を2.00ポイント引き上げ、19.00%とすることを決めた。利上げは市場予想通りだったが、引き上げ幅は予想の倍だった。

 中銀は20年9月会合で新型コロナのパンデミック(感染症の世界的大流行)による経済への悪影響が薄れ、景気回復ペースが速まりインフレが加速し始めたとして、18年9月以来2年ぶりに2.00ポイント利上げした。10月に金利を据え置いたが、11月会合で一段とインフレを抑制するため、政策金利を一気に4.75ポイント引き上げ、12月の前回会合でも2.00ポイントの追加利上げを決めた。1月会合と2月会合では一連の利上げ効果の様子を見るためとして据え置きを決めており、今回の利上げは20年12月以来、3会合ぶり。利上げ幅も20年以降で計10.75ポイントとなった。

 中銀は会合後に発表した声明文で、主要政策金利を大幅に引き上げたことについて、インフレの加速とトルコリラ安の進行を阻止するため、「金融引き締めを前倒しで決めた」としている。その上で、「金融引き締めスタンスはインフレ率の持続的な低下と物価の安定を示す経済指標が見られるまで長期にわたって継続する。インフレ指標を注視し、必要に応じ、追加金融引き締め措置を講じる」とし、追加利上げの可能性を示唆した。

 トルコ統計局が3日発表した2月CPI(消費者物価指数、03年=100)で見たインフレ率は、パンデミックがピークを過ぎ、経済活動が再開され、景気回復が進む中、前年比15.61%上昇と、1月の14.97%上を上回り、4カ月連続で伸びが加速した。CPIが15%台となったのは19年8月以来1年6カ月ぶり。

 インフレの現状認識と見通しについては、「強い内需や為替相場変動などのコスト効果、輸入食品やコモディティ(国際相場商品)の価格上昇、高水準の期待インフレ率が引き続き、企業の価格設定行動やインフレの先行き見通しに悪影響を与えている」とし、輸入物価を上昇させる通貨トルコリラ安とインフレの加速に懸念を示した。その上で、「今後、(20年11月と12月の過去2回の利上げによる)強力な金融引き締めにより、内需と信用取引を抑制する効果(減速効果)が一段と高まることが予想されるものの、最近の(リラ安による)輸入物価の上昇と信用の高い伸びにより、内需とコスト要因(インフレ要因)の減速ペースが遅れている」とし、大幅利上げの必要性を強調している。

 今後の金融政策について、前回会合時と同様、「5%上昇の物価目標が達成され、インフレ率が恒久的に安定するまでは、ディスインフレ(物価上昇率の鈍化)効果が続くよう金融引き締め政策を維持する」とした上で、今回の会合でも「金融引き締めスタンスを維持し、加えて、恒久的な物価安定を達成することにより、カントリーリスクプレミアム(国家リスクに対し追加的に求められる上乗せ金利)を引き下げ、また、ドル化の流れを逆転させ、外貨準備高の増大と金融コストの低下を引き起こす」との文言を残した。

 次回の金融政策決定会合は4月15日に開かれる予定。

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 iS新興国<1362.T>、上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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