米4月小売売上高、前月比横ばい―市場予想下回る

経済

2021/5/17 9:25

<チェックポイント>

●金額ベースでは過去最高を更新

●外食や家電が急増―3月に伸びたアパレル、スポーツ用品などは急減

●コア小売売上高、前月比1.5%減―3月は7.6%増

 米商務省が14日発表した4月小売売上高(季節・営業日調整後)は、前月比横ばい(0.02%増=1.4億ドル増)の6197億ドルと、3月の同10.7%増(改定前9.8%増)から大幅に鈍化し、市場予想の0.8-1.8%増を下回った。ただ、金額ベースでは新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の世界的大流行)前の20年2月(5273億ドル)水準を11カ月連続で上回り、過去最高を更新している。一方、季節要因を無視できる前年比は51.2%増と、3月の同29.0%増(改定前は27.7%増)を大幅に上回った。

 市場では、3月の伸びが20年5月(18.1%増)以来10カ月ぶりの高い伸びとなった反動で、前月比横ばいとなったものの、新型コロナ感染拡大が小康状態となったことを受け、消費者の志向が巣ごもり需要から娯楽・旅行関連にシフトしていることや、3月の現金追加給付の効果が持続し、金額は過去最高を更新したとみている。

 小売売上高は全13業種のうち、前月比で5業種が増加したが、8業種は減少した。増加幅が最も大きかったのは外食(レストラン・バー)の3.0%増(3月は同13.5%増)。次いで電子機器・家電の1.2%増(同17.5%増)、ヘルス(薬局・美容)の1.0%増(同8%増)だった。

 それとは対照的に、減少幅が最も大きかったのはアパレルの5.1%減(3月は22.7%増)。次いで百貨店やスーパーなどの量販店を含む一般小売販売は同4.9%減(同9.7%増)となった。このうち、百貨店は同1.9%減(同12.6%増)。このほか、スポーツ用品・趣味・楽曲・書籍が3.6%減(同24.2%増)、どのカテゴリーにも入らない「その他小売」も1.1%減(同10.8%増)、家具も同0.7%減(同8.1%増)、オンライン小売は0.6%減(同4.7%増)、ホームセンターなどの建築資材・園芸も0.4%減(同13.9%増)と、軒並み3月の急増の反動で大きく減少した。

 月ごとに変動が大きい自動車・同部品は前月比2.9%増(3月は17.1%増)となったが、ガソリンスタンドは同1.1%減(同10.2%増)と、減少に転じた。この結果、全体の小売売上高から月ごとに変動が激しいガソリンスタンドと自動車・同部品を除いた実質の小売売上高は同0.8%減(同8.9%増)となった。ガソリンスタンドだけを除いた小売売上高は同0.1%増(同10.7%増)。また、自動車・同部品だけを除いた小売売上高は同0.8%減(同9%増)となり、市場予想の同1.2%増を下回った。自動車用半導体の供給不足で減産に追い込まれた自動車が販売好調となり、全体を押し上げた。

 ガソリンスタンドと自動車・同部品に加え、建築資材や飲食レストランを除いた、いわゆる“コア小売売上高”(コントロール・グループ)は前月比1.5%減と、前月の同7.6%増から減少に転じ、7月29日発表の4-6月期GDP(国内総生産)の約7割を占める個人消費を押し下げる。コア小売売上高はGDPを構成する個人消費支出の財支出に組み込まれる重要な指標となっている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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