治験支援のリニカル急騰―新型コロナ治療で「イベルメクチン」に期待

株式

2021/7/2 9:26

 抗寄生虫薬で知られる「イベルメクチン」の新型コロナウイルス向け利用への期待を背景に、臨床試験(治験)支援のリニカル<2183.T>が急騰したほか明治ホールディングス<2269.T>にも買いが先行している。

 医薬品の興和(名古屋市)は1日、イベルメクチンを新型コロナ治療薬として使う治験を開始すると発表した。イベルメクチンはノーベル医学生理学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授が開発に貢献し、家畜の治療で豊富な実績がある。興和は北里大から治験の依頼を受けた。

 リニカルは昨年9月に、北里大とイベルメクチンの治験業務を受託する契約を結んでいる。2日の株価は、1年ぶりの高値水準である980円(前日比9.9%高)まで上昇している。また、傘下のMeiji Seikaファルマが、北里大とイベルメクチンによる新型コロナ治療薬の開発へ向けた研究開発に取り組む明治HDも、小幅続伸でスタートした。

 このほか、イベルメクチンの関連銘柄は、基になる抗生物質をつくり出す「放線菌」の生産技術で長瀬産業<8012.T>、培養の神戸天然物化学<6568.T>など。

 一方、この日年初来高値を更新した科研製薬<4521.T>は、昨年5月にもイベルメクチンに絡んだ憶測で物色された。しかし、会社側は新型コロナ向けの研究開発は行なっていない声明を直後に発表した経緯がある。同社は米アーバーから、アタマジラミの治療薬として「イベルメクチン0.5外用剤」の日本での事業化の権利を取得した。

提供:モーニングスター社

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