米7月雇用統計、非農業部門雇用者数は前月比94.3万人増―市場予想大幅に上回る

経済

2021/8/10 9:10

<チェックポイント>

●雇用者数、レストラン・バーなど接客業が急増

●政府部門雇用者数、パンデミック絡みで24万人増

●失業率は5.4%で6月から0.5ポイント低下―労働参加率は微増にとどまる

 米労働省が6日発表した7月雇用統計で非農業部門雇用者数は、前月比94万3000人増と、6月の93万8000人増(改定前は85万人増)に続いて2カ月連続で90万人超の大幅増となった。20年8月の158万3000人増以来、11カ月ぶりの高い伸びで、市場予想の84万5000-92万5000人増も上回った。デルタ株の感染が拡大する中、ワクチン接種の進展や経済・社会活動がほぼ全面的に再開したことを受け、レストラン・バーなど接客業で一時帰休労働者の職場復帰が強まったことなどが反映された。

 雇用統計の内訳は、民間部門が前月比70万3000人増と、6月の76万9000人増(改定前66万2000人増)からさらに伸び、市場予想の65万人増を上回った。一方、政府部門も24万人増と、6月の16万9000人増(改定前18万8000人増)を大幅に上回り、5カ月連続の増加となった。これはパンデミックの影響が治まり、多くの州や市町村などの地方自治体が学校再開で教職員やスクールバスの運転手、食堂スタッフなどの採用に動き出したためで、州と市町村の教育関連の雇用は計23万600人増となっている。

 過去3カ月間(5-7月)の月平均の雇用者数の伸びは83万2000人増と、20年5月時点の651万人減や6月時点の433万3000人減から改善した。

 パンデミック前の雇用者数(事業所統計ベース)は約1億5250万人。これに対し、7月現在の雇用者数は1億4682万人なので、まだ568万人足りていない。パンデミックで失われた雇用のすべてを取り戻すには月100万人ペースで増加しても6カ月はかかる見通しだ。

 一方、失業率は5.4%と、20年3月以来16カ月ぶりの低水準となり、市場予想の5.6-5.7%も下回った。失業率はこれまで第2次大戦後で過去最高となった20年4月の14.8%をピークに11月の6.7%まで7カ月連続で低下し、12月も同率となった。21年に入り、1-4月は6%台が続いたが、5月以降は5%台となっている。

 一方、市場が注目している労働市場への参加の程度を示す労働参加率(軍人を除く16歳以上の総人口で労働力人口を割ったもの)は61.7%と、6月の61.6%を若干上回ったものの、パンデミックが始まったばかりの20年3月の62.6%下回った。労働者の雇用市場への参加が依然として弱く、労働者不足は深刻だ。

 失業者数のうち、全体の約14%に相当する123万9000人(6月は約19%相当の181万1000人)がパンデミックを受けた経済活動の自粛によって発生した「一時帰休による失業者」に分類された。7月はこの一時帰休者数が、規制解除が進む中、前月比で57万2000人減少(6月は1万2000人減少)となっている。パンデミックが猛威を振るった20年12月以降、一時帰休者は1月が29万3000人減、2月も51万7000人減、3月も20万3000人減と、パンデミックの鎮静化とともに減少。4月は増加したが、5月以降、再び減少している。この結果、計180万人が過去7カ月間で職場復帰したが、20年6月に職場復帰者が約480万人と、ピークに達して以降、職場復帰のペースは鈍化傾向にある。

 賃金(平均時給)の伸びは雇用需要の拡大と労働者不足を反映し、前月比0.4%(11セント)増と、市場予想の同0.3%増を上回り、4カ月連続の増加となった。前年比は4.0%増と、6月の3.7%増を上回った。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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