<一撃!裏銘柄>将来の疾病に備える「細胞バンク」のパイオニア

株式

2021/8/12 12:03

 高成長企業ながら株価急落で調整が進展したステムセル研究所<7096.T>に狙いを定めたい。同社は日本最大の民間さい帯血バンク運営企業。再生医療を主な目的に、新生児の血液「さい帯血」や「さい帯(へその緒)」を将来の疾病への治療ソースとして分離・保管する細胞バンク事業を手掛けている。

 さい帯血を保管する独占的な技術を有し、民間さい帯血バンクとして99%のシェアを獲得(保管検体数ベース)。保管さい帯血は2親等以内の親族にも転用できることや、根治療法のない神経疾患に適応される可能性があること、初の白血病治療で使われた実績などから、今後は多くの再生医療への展開が期待されている。

 さい帯血を用いた再生医療分野での研究開発活動として、高知大学医学部附属病院や大阪市立大学附属病院での小児神経疾患を対象とした臨床研究が着実に進展。このほか、東京大学医科学研究所や同医学部附属病院との小児形態異常などの先天性疾患に対する治療法の開発をはじめ、大学系研究機関との共同研究にも注力する。

 今後の検体数増加に備えて、細胞処理センターや最新鋭の第2細胞保管センターを横浜に新設し、細胞の処理・保管能力を増強している。さい帯血を用いた国内の臨床研究は初期段階のため、今後の進展次第では株価急騰の大きな起爆剤となる。

 さい帯血保管料金は、10年分で出産時26万4000円、20年で31万9000円と高額ながら、前受金が多く売掛リスクの低さも魅力だ。ストック型収益につながるビジネスモデルを構築していることも強みとなる。

 今3月期第1四半期の非連結売上高は、同期間で過去最高の4億2400万円(前年同期比30.4%増)、営業利益は5000万円(同2.2倍)と順調なスタートを切ったものの、7月後半からの株価急落の影響を引きずる格好で決算発表後も下落した。RSI(相対力指数)やストキャスティクスなどオシレーター(逆張り)系指標は中低位で推移しており、テクニカル的な過熱感は完全に解消。需給の崩れによる調整一巡後は、株価再起動による買い人気が期待できそうだ。

提供:モーニングスター社

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