<新興国eye>ハンガリー中銀、感染拡大で利上げ幅を0.15ポイントに縮小

新興国

2021/9/22 11:27

 ハンガリー中央銀行は21日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を0.15ポイント引き上げ、1.65%とすることを決めた。他の政策金利も同率引き上げ、ベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利を0.70%、また、上限を示す翌日物有担保貸出金利と7日物有担保貸出金利もそれぞれ2.60%とした。新金利は22日から適用される。市場では0.25ポイントの利上げ幅を予想していた。

 中銀は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の沈静化による経済活動の再開でインフレが加速し始めたことを受け、6月会合でベース金利だけを引き上げ、他の金利は据え置いた。7月と前回8月会合ではすべての政策金利を同率引き上げた。これで4カ月連続の利上げとなり、利上げ幅は計1.05ポイントに達した。

 また、今回の会合で中銀はテーパーリング(量的緩和の段階的縮小)を一段と進め、9月27日から週買い入れ額を現在の500億フォリントから400億フォリント(約146億円)に減額することを決めた。中銀は前回8月会合でテーパリングの開始を発表し、8月23日から週買い入れ額を600億フォリントから500億フォリントに減額しており、2カ月連続の減額となる。

 市場では、この文言はデルタ株の感染拡大による景気回復の遅れを警戒したもので、今回の利上げ幅が市場予想を下回り、小幅にとどまったのもインフレ加速懸念と感染拡大による景気鈍化懸念とのバランスをとったとみている。

 中銀は金融政策の見通しについても、「最新の四半期インフレ報告書の予測ではインフレ率は22年初めごろから減速し始めるものの、新型コロナの第4波感染拡大で景気回復見通しの下ブレリスクが高まっていく」とし、「毎月の利上げサイクルを一段と小幅なペースで続けることを正当化する」とした。

 利上げサイクルについては、前回会合と同様、「今後、インフレ率が持続的に物価目標(3%上昇)の水準で落ち着く見通しや、インフレ見通しの上ブレ・下ブレの両リスクが金融政策の時間軸で均衡するまで利上げサイクルを続ける」とした。

 また、中銀は前回の会合で、「買い入れ減額の対象は短めの国債となるため、保有国債の構成は長めの国債のシェアが高まる」とし、保有国債の減額については、「市場で売却せず、満期まで保有する」方針を示したが、今回の会合でもこの方針を据え置いた。

 インフレ見通しについては、「8月のインフレ率は前年比4.9%上昇(7月は4.6%上昇)、コアインフレ率も同3.6%上昇(同3.5%上昇)と、伸びが加速した」とした上で、「インフレ率はいわゆるベース効果で秋に再び一時的に加速し、年末まで5%上昇を超える可能性が高い」とした。ただ、「その後は金融引き締めサイクルの効果により、インフレ率は22年初めには減速し始め、22年4-6月期に物価の許容水準(2-4%上昇)に戻り、22年下期(7-12月)には物価目標(3%上昇)の水準で落ち着く」と見ている。

 次回の金融政策決定会合は10月19日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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