タナベ経営、M&AやDX推進し26年3月期に売上高150億円目指す

株式

2021/10/1 8:46

 タナベ経営<9644.T>は29日、個人投資家向け会社説明会の動画を公開した。出演したタナベ経営の代表取締役社長である若松孝彦氏は、M&A(企業の合併・買収)も活用したコンサルティングメニューの拡大やDX(デジタルトランスフォーメーション)コンサルティング領域の強化を軸に、26年3月期に売上高150億円を目指す成長戦略を明らかにした。

<チームコンサルで地域密着が特徴>

 タナベ経営は創業64年目となる日本の総合経営コンサルティングのパイオニアといわれる。1957年、創業者である田辺昇一氏が「どんなに規模が小さくとも、すべての企業には命がある」という考えのもと、日本で初めて企業を救う医師「ビジネスドクター」(経営コンサルタント)として立ち上げた。バブル崩壊、阪神・淡路大震災、リーマン・ショックなど様々な困難を乗り越えながら着実に売上高を積み上げており、最近では19年に営業のデジタルシフトやBtoB向けデジタルマーケティング支援などを手がけるリーディング・ソリューション、21年にはM&A全般の支援(クロスボーダー含む)やバックオフィスに対するDX支援などを手がけるグローウィン・パートナーズをそれぞれグループ化しており、M&A(企業の合併・買収)による事業拡大にも積極的だ。

 同社のコンサルティングスタイルは、「ドメイン(業種・事業領域)×ファンクション(経営機能)×リージョン(地域)」の3つの観点から複数名の専門コンサルタントを選出し、中長期経営計画の策定・推進、DX(デジタルトランスフォーメーション)、M&A、ビジネスモデルの変革、HR(人事制度や人材採用・育成・定着)、グループ経営戦略、事業承継など様々な課題に対して最適解を導き出す「チームコンサルティング」が特徴。北海道から沖縄まで、全国10カ所に事業所を長年構えており、各地域に地域経済や商習慣に精通するコンサルタントが常駐することで、地域密着型のコンサルティングを提供している。

 IDC JAPANの「国内ビジネスコンサルティングサービスセグメント別市場予測」(2020.4)によれば、国内のビジネスコンサルティング市場は、24年度に18年度比40.8%の成長が予想されているが、このうちDX化などのデジタル関連の構成比は18年度に16.8%だったものが49.6%に拡大するとみられており、若松社長は「あらゆるコンサルティングテーマにデジタル関連が実装されていくだろう」と指摘。一方、企業によるDXへの取組状況は、首都圏の大企業でも半分程が取り組んでいないことから、大きなマーケットになり得る。各地域の事業所を活用し、地域企業へのDXニーズを取り込んでいく方針だ。

<DXやM&Aで成長拡大へ>

 22年3月期の連結業績は、DXやM&Aなどのコンサルティング案件が増加する見込みで、売上高102億円(前期比10.7%増)、営業利益9億円(同19.7%増)を予想。また、26年3月期を最終年度とした中期経営計画では、売上高150億円、営業利益18億円を目指すが、特にDXコンサルティングの売上高が21年3月期の6億4800万円から38億円と約6倍の急成長を予想している。

 中期経営計画の実現のため、現在の3社体制から早期にグループ6社体制とし、現状のあらゆるコンサルティングメニューにDXを実装させていく。高い契約継続率を維持して顧客単価の向上を図るほか、人材の拡充・育成にも注力する。SDGs(持続可能な開発目標)も意識しており、「SDGsに即したKPI(重要業績評価指標)を設定し、対応を進めていく」(若松社長)とした。

 また、株主還元については、株主優待制度の廃止に伴い、21年3月期第2四半期末より中間配当を実施する。若松社長は「26年3月期に総還元性向50.0%を目指し、多様な株主還元策を実施していく」としている。

提供:モーニングスター社

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