<新興国eye>カンボジア政府、ワクチン接種済外国人観光客の受け入れを検討
2021/10/1 12:14
9月17日、カンボジアのフン・セン首相は、現在入国時に14日間の強制隔離を行っている入国規制について、ワクチン接種済み外国人観光客については隔離期間を7日間とするとともに、サンドボックス方式で隔離期間中の観光も可能とする方向で検討を進めるよう、観光大臣に指示したとのことです。カンボジアでの成人へのワクチン接種(2回)完了率は85%に達していることに加え、欧米や周辺諸国で外国人観光客の受け入れが進みつつあることが背景になっているものと見られます。
タイ政府は7月から、プーケット島でワクチン接種を完了した外国人旅行者の受け入れを開始しています。ベトナムは、10-11月をメドにリゾート地フーコック島で外国人の受け入れを再開することを決めています。タイやベトナムよりも自国でのワクチン接種が大幅に進んでいるカンボジアで外国人観光客の受入検討が遅れていることについて、カンボジアの観光業界では反発の声が高まっていました。
この首相の方針については、ビジネス界も歓迎しており、観光向けのシェムリアップだけでなく、ビジネス向けにプノンペンでも同様の方針を検討することを求めています。
WHO(世界保健機関)がワクチン接種者に対する入国時の隔離や検査の免除を認める方針を7月に打ち出し、英国や米国などの欧米諸国でも、ワクチン接種を条件として入国規制を大幅に緩和する国が増加しています。日本は、経団連などが規制緩和を強く求めいているにも関わらず、入国規制の緩和に後ろ向きの姿勢が目立ち、相互主義(相手国と自国での取り扱いを平等にする)が原則の二国間交渉で大きく出遅れているのが実情です。
カンボジアで、入国時規制の緩和方針が打ち出されたことは大きな一歩であり、今後の検討が早期に進むことが期待されます。
【筆者:鈴木博】
1959年東京生まれ。東京大学経済学部卒。82年から、政府系金融機関の海外経済協力基金(OECF)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などで、政府開発援助(円借款)業務に長年携わる。2007年からカンボジア経済財政省・上席顧問エコノミスト。09年カンボジア政府よりサハメトレイ勲章受章。10年よりカンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストとして、カンボジアと日本企業のWin-Winを目指して経済調査、情報提供など行っている。
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提供:モーニングスター社
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