<新興国eye>ハンガリー中銀、0.15ポイント追加利上げ―利上げサイクル継続へ

新興国

2021/10/20 12:23

 ハンガリー中央銀行は19日の金融理事会で、主要政策金利であるベース金利(準備預金への付利金利)を0.15ポイント引き上げ、1.80%とすることを決めた。市場予想通りだった。また、他の政策金利も同率引き上げ、ベース金利の上下幅(コリドー)の下限を示す翌日物預金金利を0.85%、上限を示す翌日物有担保貸出金利と7日物有担保貸出金利をそれぞれ2.75%とした。新金利は20日から適用される。

 中銀は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の沈静化による経済活動の再開でインフレが加速し始めたことを受け、6月会合でベース金利だけを引き上げ、他の金利は据え置いた。7月、8月、9月の会合ではすべての政策金利を同率引き上げた。これで利上げは5会合連続となる。利上げ幅は計1.20ポイントに達した。

 また、前回9月会合で、テーパリング(量的金融緩和の段階的縮小)を一段と進めるため、9月27日から週買い入れ額を500億フォリントから400億フォリント(約147億円)に減額することを決めたが、今後の買い入れペースについて声明文で、「12月会合で、22年1-3月期の週買い入れペースを決める」とした。その上で、「今後の買い入れ減額のペースや中身については必要に応じて柔軟に決める。金融市場の安定を維持する必要がある場合、一時的に資産買い入れを増額する用意がある」との文言を残した。

 市場ではこの文言はデルタ株の感染拡大による景気回復の遅れを警戒したもので、今回の利上げ幅が前回会合に続いて小幅にとどまったのもインフレ加速懸念と感染拡大による景気鈍化懸念とのバランスをとったとみている。

 中銀は金融政策の見通しについても、「インフレ見通しは引き続き上ブレリスクとなっており、当初の予想よりも長期化する可能性がある。このため、毎月の金利引き締めサイクルを継続する必要があると考える」とし、その上で、中銀は前回会合と同様、「今後、インフレ率が持続的に物価目標(3%上昇)の水準で落ち着く見通しや、インフレ見通しの上ブレ・下ブレの両リスクが金融政策のタイム・ホライズン(時間軸)で均衡するまで利上げサイクルを続ける」とした。

 景気見通しについては、21年GDP(国内総生産)見通しを6.5-7%増、22年は5-6%増と予想。「労働市場が好ましい状況となり、家計部門の消費の伸びが継続し、投資も21年から拡大する」としている。

 インフレ見通しについては、「9月のインフレ率は前年比5.5%上昇(8月は4.9%上昇)、コアインフレ率も同4.0%上昇(同3.6%上昇)と、伸びが加速した」とした上で、「インフレ率は秋に一段と加速する可能性が高い」とした。ただ、「その後は金融引き締めサイクルの効果により、インフレ率は22年初めには減速し始め、22年4-6月期に物価の許容水準(2-4%上昇)に戻り、22年下期(7-12月)には物価目標(3%上昇)の水準で落ち着く」との予測を据え置いた。

 次回の金融政策決定会合は11月16日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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