<新興国eye>ロシア中銀、政策金利を0.75ポイント引き上げ7.50%に―市場予想大きく上回る

新興国

2021/10/25 9:16

 ロシア中央銀行は22日の理事会で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から経済活動を再開し、景気回復が進む中、インフレの急加速を抑制するため、主要政策金利である資金供給のための1週間物入札レポ金利と資金吸収のための1週間物入札預金金利をいずれも0.75ポイント引き上げ、7.50%とすることを決めた。市場予想の0.50ポイントを上回るサプライズ利上げとなり、これを受け、通貨ルーブル高が進んだ。

 中銀は3月会合で18年12月以来2年3カ月ぶりに利上げを再開。これで6会合連続の利上げとなり、利上げ幅は計3.25ポイントに達した。

 中銀は会合後に発表した声明文で、追加利上げを決めたことについて、前回9月会合時と同様、「インフレを持続的に押し上げる要因は依然としてかなり強い。インフレ期待が再び高まっていることを考慮すると、インフレ見通しに対するリスクは著しく大きくなる恐れがあり、物価目標から上ブレ方向でカイ離する可能性がある」とし、懸念を示した上で、「われわれの金融政策スタンスは、こうしたインフレ上ブレリスクを抑制し、インフレ率を4%上昇(物価目標)に戻すことを目的としている」とした。

 今後の金融政策については前回会合時と同様、「今後、経済予測通りに進めば、中銀は次回以降の会合でさらなる政策金利の引き上げを行う可能性についてオープンな姿勢を維持する」とし、追加利上げの可能性を示唆した。

 インフレ見通しについては、「インフレ率は21年末時点で7.4-7.9%上昇となり、22年には4.0-4.5%上昇、それ以降は物価目標に近い水準で推移する」とした。同国の9月CPI(消費者物価指数)は前年比7.4%上昇と、8月の同6.7%上昇から加速し、10月18日時点でも7.8%上昇と、物価目標を大きくオーバーシュートしている。この背景について、中銀は前回会合時と同様、「(外国人労働者の流入規制のため)多くの産業で雇用需要が増大し、労働者不足が起きており、労働市場からのインフレ上昇圧力が強まっている」と指摘している。

 景気見通しについては、「7-9月期GDP(国内総生産)は前期(4-6月期)からやや伸びが鈍化したが、拡大が続いている」としたが、「多くの経済セクターはサプライチェーンのボトルネック(制約による品不足)により、下ブレ圧力を受けている」と懸念を示した。

 なお、中銀は今回の会合で最新の中期経済予測を発表した。それによると、インフレ見通しについては、21年末時点で7.4-7.9%上昇と、前回7月予想の5.7-6.2%上昇から予想を引き上げた。22年末時点では4.0-4.5%上昇(前回予想維持)、23年末と24年末はいずれも4.0%上昇と予想している。23年は前回予想を据え置き、24年を新たに予想した。一方、景気見通しについては、21年のGDP伸び率見通しを4.0-4.5%増、22-24年はいずれも2.0-3.0%増と予想した。22-23年はいずれも前回予想を据え置き、24年を新たに予想している。

 次回の金融政策決定会合は12月17日に開かれる予定。

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