<新興国eye>マレーシア中銀、市場予想通り政策金利据え置き―7月に景気底入れしたと判断
2021/11/4 13:07
バンク・ネガラ・マレーシア(中銀)は3日の金融政策決定会合で、新型コロナウイルスの感染拡大による経済・社会規制の段階的解除が進む中、引き続き景気を支援するため、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を過去最低の1.75%に据え置くことを決めた。市場予想通りだった。
中銀は20年の1月会合で「物価安定と経済成長の上昇軌道を確実にするための予防的措置」として、8カ月ぶりに利下げを再開したが、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が始まった3月に0.25ポイントの追加利下げを実施。その後も5月と7月にも4会合連続で利下げし、利下げ幅は計1.25ポイントに達している。金利据え置きは20年9月から始まり、これで8会合連続となる。
中銀は会合後に発表した声明文で、景気の見通しについて、「新型コロナの感染拡大を抑制するための全国的な封じ込め措置により、7-9月期に景気が弱まったが、7月を底にして回復した」とし、前回会合時から景気判断を引き上げた。その上で、「22年は世界的な需要拡大、民間投資の増加、継続的な政策支援に支えられ、成長の勢いは改善する」とした。景気見通しに対するリスクについては、「国内外の要因により、依然として下ブレ傾向」と見ている。
インフレの見通しについては、前回9月会合時と同様、「年初来のインフレ率は全体指数が平均で2.3%上昇となっており、21年は2-3%上昇となる見通し。コアインフレ率も21年は1%未満の上昇(前回会合時は0.5-1.5%上昇と予想)となる」と予想した上で、「コアインフレ率は22年も緩やかな伸びを維持する」とし、最近のインフレ加速は一時的との判断を変えていない。
金融政策の見通しについては、前回会合時と同様、「(現在の)金融政策のスタンスは適切で、金融緩和となっている」、「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の見通しが不透明なことを考えると、今後の金融政策スタンスは新たなデータや情報、インフレと景気の見通しに対するリスクを勘案して決められる」とした上で、「景気回復を持続させる環境を作るため、適切な金融政策手段を講じることにコミットする(積極的に関わる)」とし、今後、大きな変動が起きた場合、金融緩和を一段と強める可能性を示唆した。
市場では今後、マレーシアの景気下ブレリスクは長期化せず、22年4-6月期に最初の利上げを実施し、金融引き締めスタンスに転換すると見ている。
次回の会合は22年1月19-20日に開かれる予定。
<関連銘柄>
ブルサKLC<1560.T>、iSエマジン<1582.T>、アセアン50<2043.T>、
提供:モーニングスター社
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