<新興国eye>ルーマニア中銀、0.25ポイント追加利上げを決定―2会合連続

新興国

2021/11/10 11:09

 ルーマニア国立銀行(中銀)は9日の金融政策決定会合で、主要政策金利である1週間物レポ金利を1.50%から0.25ポイント引き上げ、1.75%とすることを決めた。市場では0.50ポイントの追加利上げを予想していた。

 また、これまで主要政策金利の「±0.5ポイント」のレンジの上限としていた市中銀行に資金供給するためのロンバート型貸出金利については、「±0.75ポイントのレンジの上限」に変更し、同金利を2.00%から2.50%に引き上げた。下限にあたる資金吸収のための預金金利については1.00%に据え置いた。新金利はいずれも10日から適用される。

 中銀は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)による国内経済への悪影響を緩和するため、20年3月20日の緊急会合で政策金利を0.5ポイント引き下げ、5月と8月も各0.25引き下げた。21年1月会合でも0.25ポイント引き下げ、利下げ幅が20年以降、計1.25ポイントに達したことを受け、3月会合から据え置きに転じた。しかし、最近の急速なインフレ上昇を抑制するため、前回10月会合で18年5月以来3年5カ月ぶりに利上げに転換した。利上げはこれで2会合連続となり、利上げ幅は計0.50ポイントとなった。

 金融システム内の流動性を適切に管理するため、市中銀行が中銀に預ける預金準備率については自国通貨建ての預金準備率を8.00%に、1月会合で外国通貨建ての預金準備率を5.00%に据え置いた。

 中銀は会合後に発表した声明文で、再利上げを決めたことについて、「9月のインフレ率は6.29%上昇と、8月の5.25%上昇や6月の3.94%上昇、経済予測も上回り、物価目標レンジ(2.5%±1ポイント上昇)の上限(3.5%上昇)を依然、大幅に超えている」とした上で、「今回の会合で承認された最新の11月四半期インフレ報告書では、供給サイドの悪影響(サプライチェーンのボトルネック)により、短期のインフレ見通しが再び大幅に上方修正され、経済予測期間のほぼ全体にわたり、インフレが大幅に悪化する見通しとなっている」とインフレ懸念が強まったことを指摘した。

 11月四半期インフレ報告書によると、インフレ率は22年半ばまで急上昇が続き、主にエネルギー価格の大幅な上昇により、物価目標レンジを上回り、前回8月予測を上回るとしている。ただ、23年7-9月期には、需要過多の状況が緩和し、インフレ率は物価目標のレンジ内に戻ると見ている。

 金融政策の見通しについては前回会合時と同様、「中期的な物価安定の達成に必要なあらゆる手段を講じる用意がある」とした。

 次回会合は22年1月10日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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