(再送)市場関係者に聞く2022年相場(3)三井住友DSアセットマネジメント・吉川氏

株式

2021/12/29 16:13

<潤沢マネーが株価下支え、22年世界GDP成長率4.5%へ>

三井住友DSアセットマネジメント/吉川雅幸チーフマクロストラテジスト

 新型コロナウイルスの動向とインフレ、さらにはマネーフローの状況を分析していくことが2022年の経済を占うポイントだ。

 足元で新型コロナは感染者数が増えても重症者や死者の数は以前ほど増えず、世界は経済活動とのバランスを取りつつ対策を続ける局面にある。変異株オミクロン株に関しても治療薬やワクチンの追加接種による効果が期待され、景気へのダメージは今のところ限られると考えられる。

 インフレをめぐっては、生産の持ち直しや出荷の遅延回復によって、部品などの供給制約はピークアウトに向いつつあり、22年にかけて緩和するとみている。また、エネルギーに関しても原油の価格は米国などの備蓄放出をきっかけに一服している。需要はまだ新型コロナのパンデミック(世界的規模での流行)の前に戻っておらず、市況がこれ以上に高騰するリスクは小さい。

 今回のインフレは物価上昇率の突出している米国のインフレを意味する。その同国では人手不足も深刻だが、若い世代ほど労働市場に戻りつつあり賃金インフレには陥らない可能性が高い。物価高の主要因である自動車のばん回生産が本格化することも踏まえると、22年後半には減速するだろう。ガソリン価格も下がり、FRB(米連邦準備制度理事会)は利上げを急ぐ必要はなくなる。

 一方で、コロナ後の各国の金融緩和や財政出動で供給されたマネーは、かなりの量がストックになってたまっている。それを示すのが、FRBがテーパリング(量的金融緩和の縮小)に移行した後のマーケットの反応だ。

 当初は市場でいわゆる「テーパータントラム(かんしゃく)」が引き起こされる懸念があったが、米国の金融政策に最も敏感な新興国の通貨や債券スプレッドの変動は限られた。実質金利も低いまま。市場のマネーが非常に潤沢だということだ。また、欧州や日本の中銀は緩和を継続しており、今後も株価の下支えになる。

 こうした中、22年以降はパンデミックで落ち込んだ世界の経済がようやく従来のトレンドに戻っていくだろう。世界のGDP(国内総生産)成長率は22年が4.5%、23年が3.7%と、潜在成長率(約3%)を上回る水準が続きそうだ。

提供:モーニングスター社

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