米12月住宅着工件数、前月比1.4%増の170.2万戸―市場予想上回る
2022/1/20 10:27
<チェックポイント>
●着工件数は3カ月連続で増加―アパート2ケタ増がけん引
●許可件数は前月比9.1%増―一戸建て・アパートとも増加で市場予想上回る
●建築中件数は前月比2.3%増―19カ月連続で増加
米商務省が19日発表した21年12月の住宅着工件数(季節調整値)は年率換算で前月比1.4%増の170万2000戸と、11月の同8.1%増(改定前は11.8%増)から3カ月連続で伸び、市場予想を上回った。前年比は2.5%増だった。
着工件数が急増したのは、月ごとに変動が激しいアパート(5世帯以上)が前月比13.7%増の52万4000戸と急増し、20年1月(58万8000戸)以来1年11カ月ぶりの高水準となったため。主力の一戸建ては同2.3%減の117万2000戸と減少に転じたが、21年3月(125万5000戸)以来9カ月ぶりの高水準を維持した。
市場では、住宅購入需要が強いことを受けて建築業者がバックログ(建築許可が下りたあと、未着工となっている件数)の処理に向かったが、サプライチェーンのボトルネック(制約による品不足)や資材・土地の不足と価格上昇、労働者不足、賃金上昇、用地取得難などの逆風が続いたと見ている。
一戸建てのバックログは前月比3.4%減の14万4000戸と、11月の同3.2%減の14万9000戸から2カ月連続で減少(改善)したが、バックログが低水準だった21年1-3月期の月平均12万2000戸を18%上回っている。
地域別の着工件数は、中西部が前月比36.5%増(うち一戸建ては同50.8%増)、北東部も同20.2%増(同11.1%増)と急増したが、全体の約6割を占める主力の南部が同1.9%減(同8.2%減)、南部に次いで大きい西部も同13.8%減(同14.6%減)と大きく落ち込んだ。
先行指標である住宅建築許可件数は前月比9.1%増の187万3000戸と3カ月連続で増加し、21年1月(188万3000戸)以来11カ月ぶりの高水準となった。市場予想(171万戸)やパンデミック前の20年2月時点の水準(147万8000戸)も大きく上回っている。一戸建ては同2.0%増の112万8000戸と3カ月連続で増加し、5月以来の高水準となった。アパート(5世帯以上)も同19.9%増の67万5000戸と急増し、全体を押し上げた。前年比は6.5%増だった。
許可件数が急増したのは、北東部の一戸建てが前月比111.9%増(前年比95.5%増)の30万3000戸と突出したためだ。フィラデルフィアで、戸建て住宅の建築に課税される不動産税の減税措置の適用を受けるため、駆け込み申請が急増した。
一戸建ての建築中件数は前月比2.3%増の76万9000戸と、20年6月以降19カ月連続の増加となった。アパート(5世帯以上)も同2.4%増の73万7000戸となり、1973年11月(152万2000戸)以来約48年ぶりの高水準となった。
また、10-12月期の建築中件数(月平均148万9000戸)が7-9月期の月平均(140万8000戸)を約5.8%上回ったことから、1月27日発表予定の21年10-12月期GDP(国内総生産)速報値の住宅投資部門を押し上げる見通しだ。
一戸建ての完成住宅件数は、前月比3.9%増の99万戸と8カ月ぶりに増加に転じ、21年4月(99万4000戸)以来8カ月ぶりの高水準となった。半面、アパート(5世帯以上)は同34.3%減の29万9000戸と急減したため、全体では同8.7%減の129万5000戸と3カ月ぶりに減少した。完成件数が高水準だった21年1-3月期の月平均139万1000戸を7%下回る低水準で、建築許可件数は強い住宅購入需要を反映して伸びたものの、特にアパートは建築資材や労働者の不足などで工期が以前より長引いており、完成が遅れているとみられている。
<関連銘柄>
NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、
SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、
NYダウベア<2041.T>
提供:モーニングスター社
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