<新興国eye>インドネシア中銀、予想通り金利据え置き―総裁は3月利上げの意向示す

新興国

2022/1/21 12:28

 インドネシア中央銀行(BI)は20日の理事会で、オミクロン株の感染拡大による国内経済への悪影響を緩和し、ルピア相場を安定させ、景気を支援するため、主要政策金利の1週間物リバースレポ金利を過去最低水準の3.50%に据え置くことを決めた。据え置きは11会合連続。市場予想通りだった。

 過剰流動性を吸収するための翌日物預金ファシリティー金利(FASBIレート)も2.75%、翌日物貸出ファシリティー金利も4.25%と、いずれも据え置かれた。

 中銀は会合後に発表した声明文で、政策金利を据え置いたことについて、前回12月会合時と同様、「今回の据え置き決定は、低インフレが今後も続くと予想される中、景気回復を支援する一方で、通貨ルピア相場と金融システムを安定させる必要性と合致する」とした。特に、今回の会合では、「FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策の正常化に向けた(金融引き締めへの)動きがインドネシア経済に及ぼす影響を緩和することを目指す」とし、米国の早期利上げや量的金融緩和(QE)からの出口戦略への警戒感を強く示した。

 その上で、今後の金融政策について、前回会合時と同様、「マクロ経済と金融システムの安定を維持し、一段の景気回復の措置を支援するため、ポリシーミックス(複数の経済政策手段の一体運営)を進める」とした。具体的にはルピア相場の安定(過度の相場下落阻止)のため、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映した動きとなるよう、(ドル売り・ルピア買いの)市場介入を実施する。

 金融緩和政策からの出口戦略について、ペリー・ワルジヨ総裁は会合後の会見で、政策金利の正常化に向け、3月会合で政策金利を2.00ポイント引き上げて5.00%とする考えを初めて示した。市場では6月に6.00%、9月には6.50%に引き上げると見ている。

 ルピア相場の見通しについては、「世界の金融市場の不透明感が続く中、インドネシアの経済ファンダメンタルズが健全な状態にあることから、ルピアの為替相場は引き続き順調に推移する」とした。1月19日時点のルピア相場は対ドルで、21年12月時点に比べ平均で0.77%のルピア安となっている。ただ、中銀は、「フィリピンやロシアの通貨に比べ、自国通貨安の進行は緩やかだ」としている。

 インフレ見通しについては、「21年のインフレ率は前年比1.87%上昇と、物価目標(3%上昇±1%)を下回った」とした上で、「22年はレンジ内で推移する」とし、前回会合時の見通しを据え置いた。

 景気見通しについては、「21年の成長率は経済予測のレンジ(3.2-4.0%増)内で推移し、22年は個人消費と堅調な輸出、政府の財政支出に支えられて経済の改善が進み、成長率は4.7-5.5%増になる」とし、前回会合時の見通しを維持した。

 次回会合は2月9-10日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 アジア債券<1349.T>、上場EM債<1566.T>、iSエマジン<1582.T>、

 アセアン50<2043.T>

提供:モーニングスター社

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