<新興国eye>ロシア中銀、政策金利を9.5%から20%に引き上げ―臨時理事会で決定

新興国

2022/3/1 8:55

 ロシア中央銀行は2月28日、臨時の理事会を開催し、主要政策金利である資金供給のための1週間物入札レポ金利と資金吸収のための1週間物入札預金金利を、いずれも9.50%から20.00%と10.50ポイント引き上げた。約20年ぶりの水準となる。

 利上げ自体は9会合連続だが、前回2月11日会合での引き上げ幅は1.00ポイントだった。

 中銀はモスクワ証券取引所の開始時刻を午前10時と通常より3時間遅らせた上で、取引開始前に臨時会合を開いた。今回の会合では、ロシア株のパニック売りを防ぐため、外国人投資家による保有証券の売却を28日から禁止することも決めた。

 ロシアルーブルは28日午前の取引で、ドルに対して約30%急落し、1ドル=119ルーブルとなっていた。ロシア中銀の大幅利上げ決定後に1ドル=90ルーブル前後まで持ち直したものの、3月1日の時点では110ルーブル前後と、ルーブル安の進行に歯止めがかからない状況となっている。

 ロシア軍によるウクライナ侵攻開始から28日で4日経過したが、ウクライナ軍の抵抗でロシア軍の侵攻にブレーキがかかり、ロシアのプーチン大統領は核攻撃の可能性を示唆したことや、西側諸国による対ロ経済制裁で、米英とEU(欧州連合)などがロシアの特定の銀行を対象に全世界の銀行間金融取引の仲介・実行を行うSWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除を決定し、ルーブルの急落が続いている。

 今回の中銀の大幅利上げはルーブル急落によるインフレ加速の悪影響からロシア経済を守る狙いがある。中銀は会合後に発表した声明分で、「われわれは政策金利の引き上げにより、通貨ルーブルの急落リスクとインフレ加速リスクを補うために必要な水準にまで預金金利を確実に引き上げる」とした上で、「利上げは金融市場と物価の安定を支え、国民の貯蓄をルーブル安の悪影響から守るためだ」としている。

 今後の金融政策については、「さらなる政策金利の決定は、外部や国内の状況と金融市場の反応によってもたらされるリスク、経済予測期間中の景気動向や物価目標に対するインフレ動向を考慮する」と追加利上げの可能性に含みを残している。

<関連銘柄>

 RTS連動<1324.T>、iSエマジン<1582.T>、WTI原油<1671.T>、

 ガス<1689.T>、原油<1690.T>、野村原油<1699.T>、

 iエネルギー<2024.T>

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