<新興国eye>前週のロシアRTS指数、取引再開2日間で11.45%安=BRICs市況

新興国

2022/3/28 11:09

 前週(24-25日)のロシア株式市場はRTS指数(ドル建て)の25日終値が前日比2.7%安の829.62、取引再開(3月24日)前で最後の取引となった2月25日終値比11.45%安となり、3週続落した。

 週明け21日から23日までは休場。ロシア軍のウクライナ侵攻開始(2月24日)に伴う西側諸国の対ロ経済制裁を受け、ロシア中銀は国内からの資本流出を防ぐため、資本規制に乗り出し、2月28日からモスクワ証券取引所での株式取引を停止。停止期間が3月23日にまで及んだ。

 1カ月ぶりに取引が再開された24日の指数は急反落して始まり、週末25日も値を下げ、続落した。

 24日は、上場全株ではなく、エネルギーや資源関連を中心とした大手33社の主要株に限定され、空売りを禁止する形で、午前9時50分から午後2時まで変則的に開かれた。取引では財務省がロシアの年金制度を支えるための国民福祉基金(NWF)を使って、人為的に株価の急激な下落を抑えるため、市場介入したほか、33銘柄に関連している新興財閥も買い戻しに入った。対ロ制裁が続く中、新興財閥は24日の値上がり益を享受している。

 25日の取引は引き続き、大手33社の主要株に限定され、空売りが禁止される中で、午前9時50分から午後2時まで変則的に開かれた。西側諸国のロシア産エネルギー離れの動きが強まり、原油安とルーブル安が嫌気され、ガスプロムは12.19%安、ルクオイルは5.77%安と急落。アエロフロートは18.2%安、経営陣のトップが米国の制裁対象となった金融大手ズベルバンク(ロシア連邦貯蓄銀行)は3.48%安となり、指数の下げを主導した。海外投資家が不在のため、海外の株式相場の動きにはあまり反応せず、原油価格に敏感な取引となった。

 また、米信用格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスがすべてのロシア企業への格付けを撤回したことも嫌気された。同業大手のS&Pグローバル・レーティングスとフィッチ・レーティングスはすでに同様な方針を発表している。

 現在、ロシア中銀が日々のモスクワ証券取引所の運営形態を決めているが、国営RIAノーボスチ通信によると、中銀は26日、週明け28日は全株を対象とする通常取引に戻すことを決めたもよう。すでに当局はソブリン・ウェルス・ファンド(国家投資ファンド)から1兆ルーブル(約100億ドル)の資金を使って、ロシア株を買い支える方針を示しているが、取引再開が進むにつれ、2月25日の取引停止時点から30-40%急落する可能性があると見られている。

 今週(3月28日-4月1日)のロシア市場は、ロシア軍のウクライナ戦闘地域の規模縮小に伴う東部ドンバス地方(ドネツク州とルハンスク州)をめぐる攻防や西側の対ロ経済制裁、原油相場などが注目となる。RTS指数は700-1000ポイントの値動きが予想される。

 西側諸国の市場関係者は、対ロ経済制裁でロシアが世界の金融システムから孤立している間は、西側の投資家はロシア市場に参加できないため、ロシア市場は正常には機能せず、当面の時間稼ぎに終わると見ている。

 主な経済発表の予定は30日の2月失業率と2月小売売上高、1日の3月ロシア製造業PMI(購買担当者景気指数)など。

<関連銘柄>

iSエマジン<1582.T>、WTI原油<1671.T>、ガス<1689.T>、原油<1690.T>、野村原油<1699.T>、iエネルギー<2024.T>

提供:モーニングスター社

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