米3月新築住宅販売件数、前月比8.6%減の76.3万戸―市場予想下回る
2022/4/27 10:49
<チェックポイント>
●販売件数、3カ月連続で減少―主力の南部と西部が全体を押し下げ
●住宅在庫は14年ぶり高水準でも手ごろ物件は依然不足
●住宅価格は前年比21.4%上昇と高水準―住宅販売件数の抑制要因に
米商務省が26日発表した3月新築住宅販売件数(季節調整済み)は前月比8.6%減の年率換算76万3000戸と、2月の同1.2%減(改定前は2.0%減)に続き、3カ月連続の減少となり、21年11月の75万3000戸以来4カ月ぶりの低水準となった。市場予想の76万8000万戸に対しても下回った。前年比は12.6%減と、10カ月連続で前年水準を下回った。
過去3カ月(21年12月-22年2月)の販売件数の改定値は、2月は前回発表時の77万2000戸から83万5000戸、1月も78万8000戸から84万5000戸、12月も86万戸から87万1000戸に、いずれも上方改定され、計13万1000戸の上方改定となった。
3月販売件数の内訳は、着工前時点での販売件数(バックログ)が前月比26.2%増の25万5000戸と、増加に転じ、21年4月の27万8000戸以来11カ月ぶりの高水準となった。他方、建築中の新築住宅の販売件数は同22.8%減の32万9000戸と、減少に転じ、21年10月の30万戸以来8カ月ぶりの低水準となった。完成住宅の販売件数は同13.5%減の17万9000戸と、21年8月の15万3000戸以来7カ月ぶりの低水準となった。
住宅価格は中央値(季節調整前)で、前月比3.6%上昇の43万6700ドルと急伸し、前年比では21.4%上昇と、大幅に上昇した。
販売価格帯を見ると、40万ドル以上の高額物件の販売比率が56%と、2月の54%から上昇した一方で、40万ドル未満の手ごろ物件の比率は2月の45%から44%に低下(30万ドル未満では16%から14%に低下)し、より高額物件にシフトした。市場では、建築コスト高を反映し、手ごろ物件の供給不足が続いていると見ている。
地域別販売件数は、全体の約6割を占め、販売件数が最も多い南部が前月比10.2%減(前年比24.7%減)の41万4000戸と、3カ月連続で減少したほか、南部に次いで多い西部も同6%減(同21%増)の20万2000戸と、3カ月連続で減少。中西部も同8.7%減(同13.8%減)の9万4000戸となり、全体を押し下げた。対照的に、北東部は同5.4%減(同12.8%増)の5万3000戸となった。
住宅供給(在庫)をみると、新築住宅在庫(着工前や建築中の住宅も含む、季節調整値)は前月比3.8%増(前年比33.4%増)の40万7000戸と、増加に転じた。これを3月の販売ペースで計算した新築住宅の在庫水準は6.4カ月相当と、2月の5.6カ月相当から2カ月連続で上昇し、1年前の4.2カ月相当を大幅に上回った。
しかし、住宅在庫のうち、すぐに販売できる完成戸数は在庫全体の8.6%(3万5000戸)と少なく、未着工件数も10万5000戸と、全体の約26%で供給不足感が強い。在庫全体でも住宅バブル期の在庫水準(45万戸)の約90%の水準にとどまっており、フレディーマックの最新調査によると、現在の住宅取得需要は依然強く、需要を満たすためには住宅供給は最大400万戸不足していると試算している。
今後の見通しについては、市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)が3月から金融引き締め(利上げ)サイクルに転換し、5月にも0.50ポイントの追加利上げが予想されているため、住宅ローン金利の急上昇により住宅購入者のアフォーダビリティー(住宅取得能力)が一段と低下することや、新築購入を断念して住宅リフォームに走りやすくなること、さらには建築資材不足や労働者不足、建築コストの上昇により、手ごろな価格帯の住宅供給が困難となるなど、新築市場には逆風が吹き続けると懸念している。
<関連銘柄>
NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、
SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、
NYダウベア<2041.T>
提供:モーニングスター社
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