米1-3月期GDP、市場予想に反する前期比1.4%減―輸出減、貿易赤字が拡大
2022/5/2 9:15
<チェックポイント>
●輸出と在庫投資、政府支出の悪化がマイナス成長の要因
●個人消費と企業投資は依然堅調
●コアPCE物価指数、前期比5.2%上昇
米商務省が4月28日に発表した1-3月期実質GDP(国内総生産)・速報値は、季節調整済みで前期比年率換算1.4%減と、前期の同6.9%増から大きく後退。市場予想の1.1%増に反し、マイナス成長となった。前期比マイナス成長となったのはコロナ禍の20年4-6月期(31.2%減)以来、7期ぶり。
マイナス成長に転落したのは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の開始(2月24日)と、それに伴う西側諸国の対ロ経済制裁により、インフレ圧力が一段と上昇し、ウクライナ有事前からのオミクロン株の感染拡大によるサプライチェーンのボトルネック(制約による品不足)や労働者不足の問題が一段と悪化し、輸出が急減したことが大きい。
1-3月期GDPの主な内訳は、全体の約7割を占める個人消費が2.7%増と、前期の2.5%増を上回り、2期連続で伸びが加速した。個人消費の内訳では、半導体不足の悪影響を受けている自動車生産を含む耐久財消費が4.1%増(前期は2.5%増)と2期連続で伸びが加速した。自動車の生産額は10.4%増(前期は4.3%減)と3期ぶりに増加。サービス消費も4.3%増(同3.3%増)と、3期ぶりに伸びが加速した。
投資部門では住宅以外の民間投資(企業投資)が9.2%増となり、前期の2.9%増を上回り、3期連続で伸びが加速。内訳は、事業所ビルや工場、石油掘削リグなどの建物に対する投資が0.9%減(前期は8.3%減)と4期連続で減少したが、企業の機械設備投資は15.3%増(同2.8%増)と、2期連続で増加した。
一方、住宅投資は2.1%増と、前期の2.2%増に続いて2期連続で増加したものの、伸びは鈍化した。
これらにGDP押し上げ要因である在庫投資を加えた民間投資全体は2.3%増と、3期連続で増加したが、前期の36.7%増から急減速し、GDP全体の伸びを抑えた。企業在庫投資の実質変動額は前期比年率換算で1587億ドル増と、前期の1932億ドル増を18%(345億ドル)下回り、GDP全体を押し下げた。
1-3月期GDPのマイナス成長の最大要因は外需部門だった。GDP押し上げ要因である輸出は5.9%減と、前期の22.4%増から減少に転じた。一方、GDP押し下げ要因である輸入は17.7%増(前期は17.9%増)と、2期連続で高い伸びとなった。輸入の伸びが輸出を大きく上回ったため、貿易赤字が1兆5417億ドルと、前期より1916億ドル拡大し、マイナス成長につながった。
一方、政府部門(政府消費支出と固定資本形成)は2.7%減と、前期の2.6%減に続いて2期連続で減少した。
また、今後の個人消費の先行きを占う意味で重視される可処分所得の伸びは、季節調整前で前期比年率換算4.8%増と、前期の同0.4%増を上回った(季節調整後は2.0%減、前期は5.6%減)。可処分所得に対する貯蓄の割合である貯蓄率は6.6%と、前期の7.7%を下回った。額面の貯蓄額も1兆2125億ドルと、前期の1兆3944億ドルから13%(1819億ドル)減少した。
インフレ動向を示し、名目GDP(6.5%増)から実質GDP伸び率を算出するときに使われる物価指数であるGDPデフレーターは、前期比年率換算で8.0%上昇と、前期の7.1%上昇や市場予想(7.3%上昇)を上回った。一方、PCE(個人消費支出)物価指数も7.0%上昇と、前期の6.4%上昇から伸びが加速した。また、FRBが最も重視しているコアPCE物価指数(値動きが激しいエネルギーと食品を除く)は5.2%上昇(前期は5.0%上昇)と伸びが加速した。
<関連銘柄>
NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、
SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、
NYダウベア<2041.T>
提供:モーニングスター社
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