米4月雇用統計、非農業部門雇用者数は前月比42.8万人増―市場予想上回る

経済

2022/5/9 9:48

<チェックポイント>

●失業率は3.6%―市場予想上回る

●賃金は前年比5.5%増―3月を下回るも高水準続く

●労働者の市場参加率、3月下回る―賃上げ圧力高まる公算大

 米労働省が6日発表した4月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比42万8000人増と、3月の42万8000人増(改定前は43万1000人増)に続いて堅調な伸びを示し、市場予想の40万人増を上回った。

 失業率は3.6%と、3月から横ばい。市場予想は3.5%だった。

 市場が注目していた、賃金(平均時給)の伸びは前月比0.3%増と、市場予想の0.4%増を下回った。前年比は5.5%増と市場予想と一致したが、3月の同5.6%増をやや下回り、インフレ圧力はやや後退した。ただ、企業の雇用需要が強い一方で、労働者不足となっているため、賃金を引き上げざるを得なく、賃金の伸びは高水準が続いている。

 4月の非農業部門雇用者数をセクター別でみると、製造業が前月比5万5000人増と3月の同4万3000人増を上回った。半導体不足などサプライチェーンのボトルネック(制約による品不足)に直面している自動車・同部品製造業は同6100人増と3月の同3600人増に続いて、2カ月連続で加速したが、建設業は同2000人増と3月の2万人増から伸びが大幅に鈍化した。サービス業は同34万人増と、3月の同35万7000人増から伸びがやや減速した。

 民間部門全体の雇用者数(事業所統計)は、前月比40万6000人増と、3月の同42万4000人増を下回り、21年5月の38万1000人増以来11カ月ぶりの低い伸びとなった。対照的に、政府部門は同2万2000人増と、3月の同4000人増を大幅に上回り、民間部門の伸びの鈍化を相殺した。市町村などの地方自治体は教育関連の1万6900人増を中心に雇用者数が前月比2万1000人増と、大きく伸びたが、州政府と連邦政府は計1000人増(連邦政府は6000人減、州政府は7000人増)にとどまった。

 労働市場への参加の程度を示す労働者の市場参加率(軍人を除く16歳以上の総人口で労働力人口を割ったもの)は4月が62.2%と、3月の62.4%を下回った。市場では、市場参加率が低下した一方で、雇用需要が依然として強く、労働者不足が続いているため、今後、賃上げ圧力が上昇し、賃金インフレ懸念が一段と強まると見ている。

 失業者数のうち、全体の14.4%に相当する85万3000人(3月は13.2%相当の78万7000人)がコロナ感染拡大を受けた経済活動の自粛によって発生した「一時帰休による失業者」に分類された。4月は米国内でステルスオミクロン株(BA.2)の感染が広がり、新規感染者数が急増し始めたため、この一時帰休者数は前月比6万6000人増と、3月の同10万1000人減から増加に転じた。

 また、FRB(米連邦準備制度理事会)が重視している27週間以上の長期失業者数の割合は25.2%(148万3000人)と、3月の23.9%(142万8000人)を上回った。コロナ禍前の20年1月の20.2%(118万6000人)を上回り、高水準となっている。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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