来週の東京外国為替市場見通し=米インフレのピークアウト期待続くか
予想レンジ:1ドル=125円00銭-135円00銭
9-12日のドル・円は下落した。週明け9日、前週末の米4月雇用統計を材料視したドル買いが継続し、ドル・円は2002年4月以来となる1ドル=131円35銭まで上昇したが、米国株の大幅安を嫌気したリスクオフのドル売りに押されて失速。10日は、翌日に発表を控えた米4月CPI(消費者物価指数)や12日発表の米4月PPI(生産者物価指数)などを前に様子見ムードが広がり、ほぼ横ばいで推移した。11日のCPIは市場予想を上回ったものの伸び鈍化を受けて米長期金利が低下し、ドル・円も下落。12日のPPIが市場予想と一致したため出尽くし感から米長期金利が一段と低下し、ドル・円は127円50銭近辺まで調整する場面があった。13日の東京時間は日経平均株価の上昇などを受けてリスクオンのドル買いが優勢となり、ドル・円は下げ渋った。
4月の米CPIやPPIの伸びが前月から鈍化し、米インフレのピークアウト感が広がっている。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は4日のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の会見で0.75ポイントの利上げを否定しており、FRBによる過度の金融引き締めへの警戒感は薄れているが、16-20日の週も要人発言の機会は多く、タカ派的な発言が繰り返されるのか、それともハト派的な意見が出てくるか注目だ。金融引き締めの手が緩むとの見方が広がればドル・円の上値は重くなりそうだ。ただ、日銀による大規模な金融緩和はしばらく継続される見通しで、日米の金利差が縮小に向かうことは考えにくく、ドル・円の下値も限られるだろう。
地政学リスクにも目を向けておきたい。ロシア軍が一部地域でウクライナ側に押し返されているようで、侵攻が不調続きだとロシアが化学兵器の使用や核攻撃をちらつかせるようなことも考えられる。一方、北朝鮮が月内にも核実験の準備を完了させるとみられており、東アジア情勢の緊迫化も懸念される。状況次第では神経質な展開となりそうだ。
ドル・円の上値メドは年初来高値の131円30銭近辺。下値メドは127円ちょうど近辺。4月下旬から5月上旬には127円ちょうどから前半にかけて下げ止まっていることから、同水準では買い戻しが強まるとみられる。
提供:モーニングスター社
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