ENECHAが損益面を上方修正、事業環境の変化でプラットフォーム事業を見直し

株式

2022/5/13 17:30

 ENECHANGE<4169.T>が13日大引け後、2022年12月期業績予想の修正を発表した。

 連結売上高を従来予想の40億円から34億円(前期比12.7%増)に減額したものの、営業損益は15億円の赤字から10億円の赤字(前期は4000万円の黒字)に引き上げた。

 同社は消費者向けに電力・ガスの切り替えをサポートするプラットフォーム事業、電力・ガス会社向けにクラウド型DX(デジタルトランスフォーメーション)サービスを提供するデータ事業、駐車場オーナー向けにEV充電サービスを提供するEV充電事業を展開している。

 今回の業績予想の修正は、プラットフォーム事業の事業環境が変化した影響が大きい。ロシアのウクライナ侵攻で世界的に資源価格が高騰している上、卸電力市場価格(JEPX価格)も高価格が続いており、電力会社にとっては電気料金をコストが上回る「逆ざや」状態が継続的に発生しうる状態となっている。そのため、第2四半期(4-6月)以降の同事業の売上高についてはいったん保守的にみることとした。

 その半面、予定していた広告宣伝など積極的な成長投資を抑制するよう方針を変更した。EV充電事業への先行投資計画は変わらず、全体では営業赤字予想だが、データ事業だけでなく、プラットフォーム事業も通期で黒字を確保する見通しだ。

 なお、第1四半期(1-3月)の段階ではプラットフォーム事業、データ事業とも好調で、それぞれ四半期売上高、ストック型収益がそろって過去最高を更新した。データ事業については第2四半期以降も着実な売上増、ストック型収益が見込め、今後、事業基盤をより確固としたものにしていきそうだ。

 EV充電事業は今期から独立したセグメントとしており、専門組織の拡充、積極的なマーケティングを進め、受注件数を積み上げている。設置台数は社内目標を大きく上回って推移し、早期目標として23年第2四半期(23年4-6月)までに3000台の受注を掲げている。来期には本格的な売上貢献も期待される。

 一方、プラットフォーム事業は当面、苦戦を余儀なくされるとみている。しかし、今後は電力契約難民の増加から、電気料金の値上げを経て、新電力のユーザー獲得活動再開が予想される。同社にとってはユーザー獲得機会の増加、ARPU(1ユーザー当たりの売上高)の上昇につながっていくことから、中期的に同事業は回復が見込めそうだ。

提供:モーニングスター社

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