米5月コアCPI、前月比0.6%上昇―前月から横ばいも市場予想上回る伸び

経済

2022/6/13 9:49

<チェックポイント>

●家賃や航空運賃含む輸送サービス、中古車がコアCPI押し上げ

●全体指数は前年比8.6%上昇に加速―食品・ガソリン急上昇

●市場はFRBの大幅利上げ継続と利上げ幅拡大への警戒感強める

 米労働省が10日発表した5月CPI(消費者物価指数)は、FRB(米連邦準備制度理事会)が重視しているコアCPI(価格変動が激しいエネルギーと食品を除く)が前月比0.6%上昇で4月から横ばいも、2カ月連続で1月(0.6%上昇)以来の高水準が継続し、市場予想の0.5%上昇を上回った。

 前月比が予想を上回る高い伸びとなったのは、家賃や航空運賃を含む輸送などサービス全体が高い伸びとなったため。航空運賃は12.6%上昇と、1963年の統計開始以降で最も高い伸びとなった4月の18.6%上昇からさらに伸び、輸送全体で1.3%上昇(4月は3.1%上昇)となった。

 また、CPIの構成ウエートの約3分の1を占める、家賃やホテル宿泊料などのシェルター価格(家賃・宿泊費)も0.6%上昇(4月は0.5%上昇)と加速。このうち、帰属家賃(OER、持ち家でも借家と同様に住宅サービスを受けているとして家賃で評価したもの)は0.6%上昇(同0.5%上昇)と、90年8月の0.7%上昇以来、31年9カ月ぶりの高い伸びとなった。

 このほか、中古車が1.8%上昇(4月は0.4%低下)と、大幅上昇。アパレルも0.7%上昇(同0.8%低下)と、上昇に転じた。メディカルケアサービス(処方箋代や病院治療費)は0.4%上昇(同0.5%上昇)だった。

 全体指数(季節調整後)は前月比1%上昇と、4月の0.3%上昇から伸びが急加速。3月の1.2%上昇以来の高い伸びで、市場予想の0.7%上昇も上回った。伸びが加速したのは、月毎に値動きの激しいエネルギー(主にガソリンと燃料油)が急加速したため。市場ではガソリン価格が上昇し始めているため、5月の全体指数は再び高い伸びに逆戻りすると見ていた。

 エネルギー全体では3.9%上昇と、4月の2.7%低下から一転して大幅に上昇した。ガソリンが4.1%上昇(4月は6.1%低下)と、上昇に転じたことが大きい。暖房用の重油は16.9%上昇(同2.7%上昇)と、伸びが急加速。都市ガス料金は8%上昇(同3.1%上昇)、電気料金も1.3%上昇(同0.7%上昇)と、いずれも伸びが加速した。

 食品も1.2%上昇と、4月の0.9%上昇を上回った。食品のうち、レストランなどで提供された外食価格は0.7%上昇と、4月の0.6%上昇を上回ったが、自宅調理用の食品も1.4%上昇(4月は1.0%上昇)と、伸びが加速した。

 全体指数の前年比は8.6%上昇と、4月の8.3%上昇や市場予想の8.3%上昇を上回り、1981年12月の8.9%上昇以来40年5カ月ぶりの高い伸び。主な内訳は食品が10.1%上昇と、81年3月の10.1%上昇以来、41年2カ月ぶりの高い伸びとなった。

 エネルギーも34.6%上昇と、05年9月の34.8%上昇以来16年8カ月ぶりの高い伸び。このうち、ガソリンは48.7%上昇と、21年12月の49.6%上昇以来5カ月ぶりの高い伸びとなったほか、燃料油は過去最高の106.7%上昇と急騰。電力は12%上昇。都市ガスは30.2%上昇と、08年7月の32.7%増以来、13年10カ月ぶりの高い伸びとなった。

 市場では3月のコア指数が0.3%上昇と、2カ月連続で伸びが鈍化したことから、インフレ圧力がピークに近づく兆しと見ていたが、4月と5月のコア指数と全体指数がいずれも市場予想を上回る高い伸びとなり、5月は特に「物価上昇が広範囲」に及んだため、インフレのピークは遠退くと見ている。FRBによる大幅利上げは今後数会合継続し、利上げ幅の拡大もあり得ると見方も高まったとして、寄り付き前のニューヨーク市場では統計発表直後、ダウ工業株30種平均やS&P500指数の先物がいずれも急落した。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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