米6月住宅着工件数、前月比2.0%減の155.9万戸―21年9月以来低水準、市場予想下回る

経済

2022/7/20 10:22

<チェックポイント>

●一戸建て着工件数、前月比8.1%減―4カ月連続減少、アパートは同15.0%増

●建築許可件数は前月比0.6%減―3カ月連続減少

●4-5月建築中が1-3月期月平均上回り、4-6月期GDP押し上げへ

 米商務省が19日発表した6月住宅着工件数(季節調整値)は年率換算で前月比2。0%減の155万9000戸と、5月の同11.9%減(改定前は14.4%減)に続いて2カ月連続で減少し、市場予想の158万戸を下回った。21年9月(155万9000戸)以来6カ月ぶりの低水準。前年比は6.3%減だった。

 市場では、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の開始(2月24日)と、それに伴う西側諸国の対ロ経済制裁でインフレ圧力が一段と高まっていることや、米連続利上げによる住宅ローン金利の急上昇、住宅価格の高騰で住宅購入者のアフォーダビリティ(住宅取得能力)が低下。さらに建築資材高騰の悪影響が現れているとして先行きに懸念を示している。

 着工件数の内訳は、主力の一戸建てが前月比8.1%減の98万2000戸と、4カ月連続で減少し、20年6月(90万戸)以来2年ぶりの低水準となった。コロナ禍前の20年2月時点の105万5000戸を大きく下回っている。

 月ごとに変動が激しいアパート(5世帯以上)は同15%増の56万8000戸と、4月(61万9000戸)以来2カ月ぶりの高水準となり、全体を下支えした。アフォーダビリティの低下で一戸建てからアパートに関心が移り始めている。

 一戸建てのバックログ(建築許可が下りたあと、未着工となっている件数)は、前月比1.3%減の14万7000戸となった。アパート(前月比3.9%増)を含めた全体では同1.1%増の28万5000戸となり、市場では、建築業者は労働者不足やサプライチェーンのボトルネック(制約による品不足)、資材高騰、住宅購入需要の低下を受け、バックログの処理が抑制されていると見ている。

 地域別の着工件数は、全体の約6割を占める主力の南部は前月比4.8%減(うち、一戸建ては2.9%減)、中西部は同7.7%減(同2.1%増)と、いずれも急減した。対照的に、北東部は同10.6%増(同12.7%減)、南部に次いで大きい西部も同3.7%増(同25.4%減)となった。一戸建てを見ると、中西部以外の全地域で減少し、一戸建ての低迷が浮き彫りとなった。

 先行指標である住宅建築許可件数は前月比0.6%減の168万5000戸と、3カ月連続で減少。21年9月(161万5000戸)以来9カ月ぶりの低水準となり、市場予想(168万戸)を下回った。市場では、アフォーダビリティの低下や人件費や資材価格の高騰で建築業者が着工を遅らせていると見ている。

 一戸建ては同8.0%減の96万7000戸と、4カ月連続で減少。アパート(5世帯以上)は同13.1%増の66万6000戸と、3カ月ぶりに増加した。

 一戸建ての地域別許可件数は、北東部は前月比14.8%減(前年比13.3%減)の5万2000戸、中西部も同9.8%減(同8.5%減)の11万9000戸、西部も同13.2%減(同12.9%減)の20万3000戸、主力の南部も同5.0%減(同11.2%減)の59万3000戸と、軒並み減少した。

 建築許可が下りたあとの建築中件数をみると、一戸建ては前月比0.4%減の82万4000戸となり、2カ月連続で減少。アパート(5世帯以上)は同1.0%増の84万1000戸となり、全体では同0.3%増(前年比は22.4%増)の168万戸と、1970年の統計開始以来、過去最高となっている。

 4-6月の建築中件数の月平均(167万4000戸)が1-3月期の月平均(月平均158万8000戸)を5.4%上回ったことから、7月28日発表予定の4-6月期GDP(国内総生産)速報値の住宅投資部門を押し上げる見通しだ。

 他方、一戸建ての完成住宅件数は、前月比4.1%減の99万6000戸と、再び減少し、1月(92万9000戸)以来5カ月ぶりの低水準となった。アパート(5世帯以上)も同5.4%減の36万6000戸となり、全体では同4.6%減の136万5000戸と、4月(133万9000戸)以来2カ月ぶりの低水準となった。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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