<新興国eye>トルコ中銀、22年インフレ見通しを60.4%上昇に引き上げ―四半期インフレ報告書

新興国

2022/7/29 11:16

 トルコ中央銀行は28日、最新の四半期インフレ報告書を発表し、22年末時点のインフレ見通しを前回4月調査時点の前年比42.8%上昇から同60.4%上昇(予想レンジは56.9-63.9%上昇)に17.6ポイント引き上げた。

 輸入物価とエネルギー・食品の物価上昇率の見通しを大きく引き上げたことが、インフレ見通し引き上げの主因。リラ安の進行や供給サイドの制約などにより上昇が続いている。

 エネルギー価格の見通しは従来予想の前年比45.0%上昇から同87.2%上昇、食品価格は同49.0%上昇から同71.3%上昇、輸入価格は同22.2%上昇から23.3%上昇に、それぞれ引き上げられた。

 また、中銀は23年末時点の見通しも前回予想の12.9%上昇から19.2%上昇(予想レンジは14.5-23.9%上昇)に6.3ポイント引き上げた。中銀のシャハプ・カヴチョル総裁は会見で、24年末時点は8.8%上昇と、インフレ率が1ケタ台に戻るとしている。

 中銀は報告書で、「インフレの加速は、地政学的な要因(ウクライナ情勢)によるエネルギー価格の上昇や経済ファンダメンタルズを反映していない価格形成(リラ安)、さらには世界的なエネルギーや食料、農産物の価格の上昇を引き起こしている強い供給ショックが要因」としている。

 その上で、金融政策については、「地域紛争の解決とともに、持続可能な物価と金融の安定を強化するための金融政策措置により、ディスインフレ(物価上昇率の鈍化)のプロセスが開始されることを期待している」「インフレが恒久的な低下を示し、5%上昇の中期の物価目標が達成されるまで、(リラの急落を阻止する)リラリゼーション戦略の枠組みの中で利用可能なすべての金融政策ツールを使い続ける」とし、インフレ抑制のための利上げには慎重な考えを示している。

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 上場MSエマ<1681.T>

提供:モーニングスター社

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