【為替本日の注目点】ドル円157円台半ばから153円付近まで急落
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
ドル円はNY市場終盤に急落。FOMC後のパウエル議長の発言がハト派寄りだったことでドルが下げる中、157円台半ばから急落。40分程で153円03銭前後までドルが売られた。4月29日以来となる政府日銀による介入と見られる。ユーロドルは1.07を挟み上下30ポイント程で推移。株式市場はFOMCを受けまちまち。ダウは87ドル買われたが、他の2指数は続落。債券は買われ、長期金利は4.62%台に低下。金は反発し、原油は大幅続落。
4月ADP雇用者数 → 19.2万人
4月ISM製造業景況指数 → 49.2
3月雇用動態調査(JOLTS)求人件数 → 8488万件
4月自動車販売台数 → 1574万台
マーケット情報
ドル/円 153.03 ~ 157.92
ユーロ/ドル 1.0671 ~ 1.0732
ユーロ/円 163.92 ~ 168.67
NYダウ +87.37 → 37,903.29ドル
GOLD +8.10 → 2,311.00ドル
WTI -2.93 → 79.00ドル
米10年国債 -0.052 → 4.628%
本日の注目イベント
豪 3月貿易収支
豪 3月住宅建設許可件数
日 日銀金融政策決定会合議事録(3月18―19日分)
独 4月製造業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏4月製造業PMI(改定値)
欧 OECD経済見通し
米 新規失業保険申請件数
米 3月貿易収支
米 3月製造業受注
米 企業決算 → モデルナ、アップル
日本時間早朝5時10分頃、ドル円は157円50銭近辺から急落し、わずか40分程度で153円前後まで下げました。今週29日(月)に次ぐ激しい動きで、これも「実弾介入」以外の可能性はないと思われます。筆者もかなり長い間為替に携わって来て、介入を何度も目にしてきましたが、NY市場の引け前からオセアニア市場オープンの時間帯での介入は初めて目にしました。FOMCではパウエル議長がややハト派寄りの発言を行い、ドル円がやや売られたタイミングでしたが、今回は当局もなかなかその効果を考えていたと思います。市場が薄くなった時間帯を狙った介入でしたが、これにも伏線があったように思えます。財務省の神田財務官は30日、介入の有無を訊かれて、「介入についてはコメントできない」とし、「24時間、365日、平時であっても対応できる準備をしている」と述べていました。まさに24時間体制で介入のタイミングを計っており、FOMC後の今回のタイミングとなった可能性が高いと思われます。ただ、ドル円はその後155円台まで値を戻しています。
注目のFOMCでは予想通り政策金利の据え置きが決められ、これで6会合連続の据え置きとなりました。声明文では、「最近の複数の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大を続けていることを示唆している。雇用の伸びは強さを維持しており、失業率は低いままだ。インフレはこの1年で緩和したが、依然として高い水準にある。ここ数カ月、委員会が目指す2%のインフレ目標に向けた一段の進展は見られていない」と、記述されている部分もありました。パウエル議長は会合後の記者会見で、「今年これまでのところ、特に確信を深められるようなデータは得られていない。インフレに関する指標は予想を上回っている。確信を強めるには、従来の想定よりも時間がかかりそうだ」と話しています。一方で次の一手については、「FOMCの次の動きが利上げになる可能性は低い」と指摘し、「利上げに踏み切るには、インフレ率を当局目標の2%に戻す上で政策の引き締めが不十分だという説得力ある証拠を目にする必要がある」と、一部FOMCメンバーが主張していた利上げには否定的な見方を示しました。いずれにしても今後のデータ次第であることは変わりありませんが、市場はこのところ発表された指標が強めであったことから「年内利下げなし」といった見方や「利上げ」といった言葉も出てきましたが、今後インフレ率が思ったほど上昇していないといった指標が出て来れば、センチメントは一気に変わる可能性があります。常に先を読む市場は、「オーバーシュート」を繰り返していると考えられます。
今週は介入と見られる動きが2度あり、金融当局の本気度も見せつけられました。「オオカミ少年」の汚名返上といったところです。明日からGW後半の始まりです。3度目の介入の可能性もあり、やはり160円に近づく水準では注意が必要です。昨日の4月ADP雇用者数も市場予想を上回っており、さらに3月分も上方修正されていました。米労働市場は依然として堅調だということで、明日の雇用統計でも強めの数字が出て来る可能性があります。もっとも、逆に弱い結果であればドル売りが優勢になると思われますが、そのタイミングで今回のような動きがあれば下げも加速しそうです。2回の介入と見られる動きでは、やはり5-6円程度の相場押し下げ効果が認められました。
本日のドル円は153円50銭~156円50銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)
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・主要経済指標の一覧表 ‐ 今月の主要経済指標の予想数値、結果の一覧
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