<新興国eye>チェコ中銀、5対2の賛成多数で金利据え置き―2委員は1.00ポイント利上げ主張

新興国

2022/8/5 11:08

 チェコ国立銀行(中銀)は4日の金融政策決定会合で、インフレ加速を抑制するため、政策金利の2週間物レポ金利を7.00%に据え置くことを5対2の賛成多数で決めた。2委員は1.00ポイントの追加利上げを主張し、反対票を投じた。市場予想は据え置きと利上げに分かれ、据え置き予想がやや優勢だった。

 中銀は最近のインフレ加速を受け、21年6月会合で20年2月以来、1年4カ月ぶりに利上げ(0.25ポイント)を再開し、8、9、11、12月に計3.25ポイント引き上げた。22年に入り2月に0.75ポイント引き上げ、前回6月会合までで利上げは9会合連続となった。利上げ幅が計6.75ポイントに達したことから今回は据え置きに転じたため、21年6月以降の利上げサイクルが中断した。

 中銀は会合後に発表した声明文で、据え置きを決めたことに関し、「政策金利水準は国内需要を弱める水準にあり、家計部門や企業への貸し付けの伸びを鈍化させ、経済のマネーサプライ(通貨供給量)の伸びも鈍化させている」、「家計消費は高い金利と消費者マインドの低下、高騰するエネルギー・食品の価格で打撃を受けている」とし、景気の先行きに懸念を示している。

 21年のGDP(国内総生産)は3.5%増となったが、最新の経済予測では、22年のGDP伸び率は2.3%増(前回会合時は0.8%増)に鈍化し、23年はさらに減速し、1.1%増(同3.6%増)になる。中銀は、「内需は鈍化すると予想している。賃金の伸びが生計費の伸びをカバーできないため、家計消費は実質所得の低下によって打撃を受ける。企業もエネルギーなど原材料のコスト上昇に直面しており、投資を抑制する」と懸念を示している。

 インフレ見通しについては、「インフレ率は今秋、前年比約20%上昇に達し、年間で16.5%上昇(前回予測は13.1%上昇)を予想している」とし、インフレが短期的に急加速すると見ている。一方、「今後1年半(23年後半)で約2%上昇にまで低下する」と予想。経済予測では23年は9.5%上昇(同4.1%上昇)、24年は2.4%上昇となっている。

 金融政策の見通しについては、「今後の金融政策は(次回会合時までに入ってくる)新しい経済データと将来の経済見通しに依存する」としたが、「インフレリスクは上ブレと下ブレの両リスクがある」とした上で、「次回の会合で、金利を据え置くか、引き上げるかを決定する」とした。

 また、中銀は通貨コルナ安がインフレを加速させるとし、これまで頻繁にコロナ安阻止の市場介入を実施しているが、今回の声明文でも、「コルナの過度な変動(特にコロナ安)を防止し続ける」とし、為替介入戦略を変更しない考えを改めて強調している。

 次回の会合は9月29日に開かれる予定。

<関連銘柄>

 上場EM債<1566.T>

提供:モーニングスター社

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