米7月雇用統計、非農業部門雇用者数は前月比52.8万人増―市場予想、大幅に上回る

経済

2022/8/8 8:51

<チェックポイント>

●失業率3.5%、6月から0.1ポイント低下で20年2月以来の低水準

●9月FOMCでの0.75ポイント大幅利上げ継続観測強まる

●労働者の市場参加率が低下―賃金圧力高まる見通し

 米労働省が5日発表した7月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比52万8000人増と、6月の39万8000人増(改定前は37万2000人増)や市場予想(25万人増)を大幅に上回った。また、失業率も3.5%と、6月から0.1ポイント低下。コロナ禍前の20年2月以来の低水準となった。

 これを受け、市場では利上げサイクルと2四半期連続のGDP(国内総生産)マイナス成長にもかかわらず、強い雇用需要と雇用ひっ迫が続いており、米経済と雇用市場は依然堅調との見方を強めている。また、これまでのFRB(米連邦準備制度理事会)の大幅利上げによる景気後退の兆しは見られないとして、次回9月FOMC(米連邦公開市場委員会)で0.75ポイントの大幅利上げを継続すると予想している。

 市場が注目していた賃金(平均時給)の伸びは前月比0.5%増と、6月(同0.4%増)や市場予想(0.3%増)を上回った。前年比では5.2%増と、6月(5.2%増)から横ばいだった。

 また、5月と6月の雇用者数(事業所統計)は計2万8000人の上方改定となった。過去3カ月間(5-7月)の月平均の雇用者数の伸びは43万7000人増となり、5月と6月時点の各38万4000人増を大きく上回り、伸びが回復傾向にある。

 非農業部門雇用者数をセクター別にみると、製造業(前月比3万人増)が6月(2万7000人増)から伸びが加速。このうち、半導体不足などサプライチェーンのボトルネック(制約による品不足)に直面している自動車・同部品製造業は同2200人減と、6月の同600人増から減少に転じた。建設業は同3万2000人増と、6月の1万6000人増から伸びが2倍に急加速した。

 サービス業は前月比40万2000人増と、6月(同35万3000人増)から伸びが加速。このうち、小売業は同21万6000人増(6月は22万1000人増)、運輸・倉庫業は同20万9000人増(同21万人増)と、いずれも6月の大幅増からさらに大きく伸びた。専門・ビジネスサービス業は同8万9000人増(同9万1000人増)となった。レジャー・接客業は同9万6000人増と、6月(7万4000人増)を大きく上回り、好調が続いている。

 民間部門全体の雇用者数(事業所統計)は、前月比47万1000人増と、6月の同40万4000人増を上回り、2月(70万4000人増)以来5カ月ぶりの高い伸びとなった。政府部門も同5万7000人増と、6月の同6000人減から急回復した。州政府と市町村などの地方自治体は雇用者数が前月比4万7000人増。連邦政府は同1万人増となった。

 一方、失業率は3.5%と、6月の3.6%から減少に転じ、市場予想(3.6%)を下回った。20年2月(3.5%)の水準となっている。

 労働市場への参加の程度を示す労働者の市場参加率(軍人を除く16歳以上の総人口で労働力人口を割ったもの)は62.1%と、6月の62.2%や5月の62.3%を下回った。市場では、市場参加率が悪化した一方で、雇用需要が強いため、今後、雇用市場のひっ迫感が強まり、賃上げ圧力が高まると見ている。

 FRBが重視している27週間以上の長期失業者数の割合は18.9%(106万7000人)と、6月の22.6%(133万6000人)や5月の23.2%(135万6000人)を下回り、大幅に改善した。

<関連銘柄>

 NASD投信<1545.T>、NYダウ投信<1546.T>、上場米国<1547.T>、

 SPD500<1557.T>、NYダウ<1679.T>、NYダウブル<2040.T>、

 NYダウベア<2041.T>

提供:モーニングスター社

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