<新興国eye>インド準備銀行、0.50ポイント利上げを決定―追加利上げ示唆
2022/8/8 9:49
インド準備銀行(RBI)は5日の金融政策決定会合で、インフレ加速を阻止し、景気を支援するため、流動性調節ファシリティ(LAF)の主要政策金利であるレポ金利(RBIの市中銀行への翌日物貸出金利)を0.50ポイント引き上げ、5.40%とすることを全員一致で決めた。利上げ幅は市場予想通りだった。
RBIは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の悪影響がインド経済に及ぶ恐れがあるとして、20年の3月27日の緊急会合で1年1カ月ぶりに利下げ(0.75%)に転換。5月22日の緊急会合でも2会合連続の利下げ(0.40%)を決めたが、その後は22年4月まで11会合連続で政策金利を据え置きに転じたが、インフレの急加速を受け、5月4日の臨時会合で0.40ポイントの緊急利上げに踏み切った。これで3会合連続の利上げ。5.40%の金利水準は19年8月以来3年ぶりの高水準。
RBIはレポ金利の引き上げに伴い、金融システムから余剰流動性(8兆3000億ルピー)を吸収するため、金利の上下幅(コリドー)についてもLAFのリバースレポ金利(市中銀行のRBIへの預金金利)も同率引き上げ、5.15%に、市中銀行が資金ひっ迫時にRBIから政府債を担保に資金を借りることができる流動性供給スキーム「MSF(マージナル・スタンディング・ファシリティー)」と公定歩合もそれぞれ同率引き上げ、5.65%とした。
追加利上げを決めたことについて、シャクティカンタ・ダス総裁は声明文で、「インフレ率は4月の急上昇から一服したものの、依然として不快なほど高く、物価目標のレンジ(2-6%上昇)の上限を上回っている。インフレ圧力は広範囲に及び、コアインフレ率は高水準にとどまっている」とした。インドでは法律により、インフレ率が3四半期連続で物価目標の上限を上回った場合、是正措置を取る必要がある。
その上で、ダス総裁は、「インフレ率は第2四半期と第3四半期に引き続き、上限を上回ると予想される。高インフレが持続するとインフレ期待が不安定になり、中期的に成長に悪影響を与える。インフレ期待を抑制し、第2ラウンド効果(賃金上昇によるインフレ加速)を抑える必要があると判断した」としている。
また、RBIは今回の会合で、22年度(22年4月-23年3月)のインフレ見通し(全体指数)を6.7%上昇(前回会合時点も6.7%上昇)に据え置いたが、22年度の第2四半期(7-9月)を前年比7.1%上昇(同7.4%上昇)、第3四半期(10-12月)を同6.4%上昇(同6.2%上昇)、第4四半期(23年1-3月)を同5.8%上昇(同5.8%上昇)、新たに23年度(23年4月-24年3月)第1四半期(4-6月)を5.0%上昇と予想した。RBIはインフレ見通し修正に合わせて、原油先物価格水戸市を1バレル=105ドル(同100ドル)に引き上げている。
景気見通しについては、原油価格を1バレル=105ドルと想定した上で、22年度を7.2%増と、従来予想を据え置いた。23年度は6.7%増と予想している。
今後の金融政策について、ダス総裁は、「国内のインフレ圧力が一段と緩和する可能性があるものの、インフレの先行きには依然、不確実性が残されている」とし、その上で、「外部からの逆風にもかかわらず、国内経済の強じんな成長の勢いが続く見通しのため、金融政策はインフレが中期の物価目標に収束するよう、金融緩和スタンスからの撤退をさらに辛抱強く続ける必要がある」と追加利上げの可能性を示唆した。
また、通貨ルピー相場が7月に対ドルで急落したことを受け、ダス総裁は引き続き、ルピーの安定を維持するため、市場介入を続ける考えを改めて強調した。
次回の金融政策決定会合は9月28-30日に開かれる予定。
<関連銘柄>
上場インド<1549.T>、インドNIF<1678.T>、インドブル<2046.T>、
インドベア<2047.T>
提供:モーニングスター社
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